西日本豪雨被災女性・母子支援 経過・進捗報告(1)岡山県・倉敷より

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2018.7.26

ジョイセフは、7月22日より、平成30年7月豪雨により被災した岡山県の倉敷市で、被災女性・母子の状況の確認を行いました。

【岡山県助産師会による情報】
倉敷市真備町の助産院は全壊し、機能していない
避難所を昼間訪問したところ、母子の姿はほとんど見られなかった
被災した妊産婦は、現在ホテルや実家、親戚、友人宅、または被災した自宅の2階に避難している
昼間は全壊・半壊した自宅で、泥かきや片付け作業を行うため、幼い子をどこにも預ける先がなく困っている母親が多い
岡山県助産師会では、助産師会が経費負担をする形で受け入れを開始した
通常入院の場合は約3万円の経費がかかるが、現在、被災した妊産婦に対して、入院や乳房マッサージ(通常初回3000円、2回目から2000円)などすべて無料で実施している

【課題】
・被災前から開業助産師と行政の連携が十分行われていない。女性に寄り添い、心のケアを行うために、訪問サービスも行える助産師が、十分に活かされていない。

【倉敷市美和 NPO法人子育て応援ナビぽっかぽか】

0~2歳児の母親支援施設。
0~2歳児をもつ被災母子の利用は、被災後2週間で3件あった
被災状況がひどかった真備町からは数km離れているせいか、被災後の利用者は少ない

【課題】
・地域支援子育て事業を市から委託されているぽっかぽかのような団体は市内に20カ所あるが、被災後の利用者が少ない
・3歳以上と0歳~2歳児が年齢で区切られていて、同じ施設に預けることができないという県の規則もネックになっている(兄弟姉妹を別の施設に預ける必要がある)

【倉敷市広江 かねこ助産院】

被災直後、助産院で出産した全母親に電話連絡し安否確認をしたところ、全員無事であった
実家や親戚の家に避難した母子、自宅の2階に在宅避難している母子がいる
かねこ助産院は、被災直後に無料の受け入れを開始
日中の母子の受け入れや、赤ちゃんの一時保育などを行っている
無料受け入れ実施は、8月末までを予定

【課題】
・助産師会からの情報が地域の全域に行き渡っていない
・サポートを必要としている人たちが今、どこにいるのか把握するのが困難
・現在のサービスの利用者はこの助産院で出産した産婦や、被災前から利用していた人たちに限られている

「被災者は、皆、着の身着のままで逃げてきたから…。下の子のへその緒を見つけたと喜んでいたお母さんが、上の子の(へその緒)がないと言っていた。それから上の子のも見つかったって聞いて…」涙ぐみながら語る助産師

かねこ助産院に来院した被災女性に話を伺う。女性がスマートフォンで撮影した被災当時の自宅の写真。

【かねこ助産院院長 兼子加寿子さん(岡山県助産師会 副会長)より】
今は気がはっている母親も、2~3カ月後には疲れてくるし、またちょっと大きな子どもたちは、目の前で災害をみていてトラウマになることを心配しています。早い段階でのこころのケアが母と子のどちらにも必要です。まずは、相談するところがあるんだよ、駆け込む場所があるんだよと知らせたい。
多くの被災者に助産師を頼ってほしい。そして寄り添っていきたい。

倉敷市で、3つの避難所に相談窓口を開設
岡山県助産師会は、7月26日(木)から倉敷市の岡田小学校、園小学校、二万小学校の3つの避難所で、週に1回(木曜)18時から20時の間(母子が避難所に戻ってくる時間帯)で相談窓口を開設する。
助産師が2人ずつの体制で各避難所に派遣され、被災女性の相談を受け付け、心のケアサポートを開始する。助産院での一時預かりや母子が休める場所を提供する活動の普及・案内も実施予定。

【岡山県男女平等推進センター】
熊本地震の際、東日本大震災後の経験資料を活かして、熊本市男女共同参画センター(はあもにい)とジョイセフが共同で制作・配布・避難所やトイレに掲示した「性被害防止」のポスターが岡山県でも活用されていた

岡山県男女共同参画推進センター(ウィズ)で、西本所長(左から2人目)、被災担当の橋井さん(左)、情報交流員小林さん(右から2人目)被災後の状況を確認するジョイセフ佐藤(右)。性被害の情報は2週間経った現段階では入ってきていない

ジョイセフは、被災女性・母子を支える活動をサポートします
引き続き、被災行政および、各県の助産師会、男女共同参画(平等推進)センター、社会福祉協議会などと連携し、被災女性・母子の状況把握に努めます。
その上で、被災地域の状況に沿った被災女性と母子を支える活動を実施します。

皆さまのご理解とご支援をお願いいたします。
最新の情報は、引き続きウェブサイトやFacebookでご報告いたします。
 

西日本豪雨被災地(岡山県、広島県、愛媛県)での初動調査は、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成金、および支援者からの寄付金を活用し実施いたしました。

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