西日本豪雨被災女性・母子支援 経過・進捗報告(3) 愛媛県・宇和島、西予、大洲より

2018年8月3日

  • 活動レポート
  • 西日本豪雨被災女性・母子支援

吉田町では広範囲で豪雨の爪痕が残っています。

ジョイセフは、7月28日から31日にかけて、平成30年7月豪雨により被災した愛媛県の宇和島市、西予市、大洲市で、被災した妊産婦・母子の状況について、聞き取り調査を行いました。

【宇和島市吉田町の被災地】

吉田町玉津地区では、4人の方が命を奪われました。
雷を思わせる轟音とゴォーという地鳴りの音、ドーンという音の直後に地崩れが起きて、家と人を一瞬で飲み込んだそうです。


玉津地区。
豪雨により裏の山が崩れ、3軒あった家はすべて土砂で流されました。


海には、山崩れで流された家の残骸や山に生えていた木がまだそのまま残っています。
 
市内の中心部から玉津地区につながる道路は、被災後約20日間は土砂で埋もれていたため、支援物資は船を使って海から届けられていたそうです。
 
被災した母親たちの多くは、実家や親戚、友人の家に頼って避難生活を送っている他、宇和島市内や県外に避難している方も少なくありません。
断水がいまだに続いているため、避難先から日中だけ戻ってきて土砂に襲われた自宅の片付けをしている方々がたくさんいます。

吉田町を含む南予地域を担当する愛媛助産師会副会長の植村助産師(写真左)から、被災したお母さんたちの状況を伺いました。

【被災地で母親たちの声を聴く】

「うちは床上浸水したけど土砂にやられなかったけん、まだマシ」
「うちも車がまだあるし、他に比べたら」
「水も車もないけど、まだ家が残ったから(よかった)」
「家族が亡くなった人らに比べたら、うちなんかいいほう」

吉田町の母親たちは、子どもを連れて避難所で入浴しています。
生理中はさすがに躊躇して、入浴できなかった日が3日間続き、土埃や泥まみれの体を給水所のタンクの水で濡らした手ぬぐいで拭いていたそうです。

それでも、
「公園や空き地がすべて、ゴミ置場、土砂置場になっていて、子どもたちを遊ばせることができない」
「子どももこの異常事態に情緒不安定になってるのが心配・・・」

と、自分のことより子どもたちの心配をするお母さんたち。

宇和島子育てサークルNPO「おかあさんといっしょ」は、被災後すぐに、サークルのLINEグループで呼びかけて、支援物資を集めたり配付したりしていました。


自身も被災した「おかあさんといっしょ」代表の泉さん(写真左)から、お母さんたちの生の声を伺いました。
 
代表の泉恵さん(被災後も保育士として市内の保育園に勤務)は、災害発生前は150人しかいなかったLINEグループが今は243人に増えていること、支援を求める母親たちに応えるために懸命に頑張っているものの、少ない人数でできることに限界を感じ、苦しい思いをしている胸中を話してくれました。
 
ジョイセフは、「おかあさんといっしょ」が8月12日に被災地のお母さんを対象に開催する「被災地スマイルプロジェクト」に、支援企業の皆さまの協力を得て、被災母子が必要とする物資と交流する場の提供を行います。
 

 
有我さんご夫妻と生まれて3週間の赤ちゃん。植村助産師(後方中央)の存在が心強いと語ってくれました

植村助産師に案内してもらい、産後3週間の被災産婦有我さんからお話を伺いました。
 
有我さんご夫妻は、吉田町内のアパートの1階を借りて生活していました。7月2日に胎盤早期剥離で緊急帝王切開手術を受けて出産していたため、災害発生当時、有我さんは赤ちゃんと一緒に宇和島市立病院に産褥入院中でした。
 
アパートに残っていた夫は、みるみる水が床上に浸水してくる中、布団や家財、赤ちゃん用品が水に浸からないように、机の上や高い棚に急いで運び上げました。
 
その後の3日間、停電と断水、また車が水没したために仕事に行けず、宇和島市内につながる道路が土砂で寸断されていたために、妻子が入院する病院まで自転車で1時間かけて通っていたそうです。
 
退院後、有我さんたちは、同じ吉田町内でも土砂崩れのリスクが低く、断水していないアパートに引っ越しました。
 
有我さんは、植村助産師が産前からケアをしていたため、災害発生後の足取りと状況を把握することができましたが、被災した母親たちの中には、実家や宇和島市内、県外へ避難した方もおり、現在置かれている状況や支援ニーズを把握することは容易ではありません。
 
だからこそ、妊婦や母親たちとつながりのある助産師、保健師、子育て支援団体などとの情報交換により、できる限りの情報を集め、ジョイセフができること、すべきことを検討していきたいと考えています。


よしもとレディースクリニック(大洲市)の寺尾看護師長/助産師(写真右)から、大洲市の状況について伺いました。クリニックには、出産できる医療施設がない西予市からの来院者も多く、毎月20~30件の出産を扱っています。肱川の氾濫でクリニックも床上浸水し、3日間閉院しました。給湯設備が壊れてしまったためにポットで湯を沸かし、閉院中も出産介助と入院患者のケアをしたそうです。寺尾さんの自宅も1階が完全に浸水し、今は2階部分に居住しながら、クリニックに通っています。

【愛媛県被災地域の課題】

  • 被災した妊産婦、母子は避難所に長く滞在せず実家や親戚宅、被災を免れた自宅の2階などに在宅避難したり、県外に避難しているため、実態を正確に把握することが難しい
    (行政も十分に把握できていない)
  • その一方で、被災した母親たちへの聞き取り結果から、母子が必要とする物資や母親たちが顔を合わせて交流し安らげる場所や空間が必要なことが確認されたが、支援は十分に届いていない
  • 助産師や保健師がより多くの被災した母親たちから話を直接聞き、必要なケアを提供する機会が限られている

愛媛県の被災地域での4日間の聞き取り調査にご協力くださった被災地の皆さま、愛媛助産師会、被災地域の助産師、保健師の皆さま、愛媛県で母子保健を担当する行政および男女共同参画事業等に関わる皆さまに、心より感謝いたします。

西日本豪雨被災地(岡山県、広島県、愛媛県)での初動調査は、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームの助成金、および支援者からの寄付金を活用し実施いたしました。
 

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