1カ月で健康保険加入500人 ~草の根NGOと保健ボランティアが進めるUHC~

2019年4月25日

  • 活動レポート
  • タンザニア

「にわとり5羽を買うお金で6人の1年間の健康が守られるんだよ」

タンザニア・ドドマ州バヒ県で、ジョイセフとともに、プロジェクトを実施している地元NGO「UMATI(IPPFタンザニア)」のスタッフ、トゥルーカ・フレッドさんは、地域で活動する保健ボランティアの「コミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)」とともに、健康保険加入を地域住民に説得して回っている。

ジョイセフとUMATIの聞き取りに集まった保健ボランティアと住民

ジョイセフエプロンの使い方の練習をするCHWたち

本プロジェクトは、武田薬品工業株式会社のグローバルCSRプログラム「アフリカの妊産婦と女性の命を守る~持続可能なコミュニティ主体の保健推進プログラム~」で、タンザニアのほか、ガーナ、ケニア、ザンビアの計4カ国で実施している。妊産婦の産前産後健診受診率の向上、家族計画の実行率の向上、10代の意図しない妊娠の減少、施設分娩の増加を目指し、保健スタッフの研修や保健ボランティアの養成を進めている。

プロジェクト地域は農村部がほとんど。写真はチフトゥカ村

タンザニアでは、保健ボランティアであるCHW、女性のリプロダクティブヘルスやエンパワーメント支援への男性の理解を向上させる役割を担う男性ボランティア、若者のリプロダクティブヘルスに関する知識・サービスへのアクセス向上のための活動をする若者ピア・エデュケーターを2018年末から計158人養成した。また、助産師など保健スタッフには若者が利用しやすいサービス対応の研修も行った。

若者ピア・エディケーターの研修を受けた、キグウェ中等学校のジェミマさん

そこで、研修を受けた保健ボランティアがまずは、地域の健康保険制度「コミュニティ・ヘルス・ファンド(CHF)」に加入することにしたのだ。CHFに加入すると、基礎的医療が自己負担なしで受けられる。バヒ県の場合、CHFに加入するには、1年間3万タンザニアシリング(約1500円)が必要で、これで、負担した本人だけでなく、家族や同居者など計6人分の基礎的医療がカバーされる。

さらに、CHWの場合は、研修で支払われたわずかな日当を活用して、自分が加入するだけでなく、それぞれが最低一組ずつ、友人などの加入費用を、最初の1年間だけ負担するよう、UMATIに促された結果、保健ボランティア養成研修後、1カ月足らずの2019年3月現在、計491人がCHFに加入した。491人が加入すると、計2946人がCHFカードの恩恵を受ける計算となる。

1500円というのは、地域住民にとって決して安くない値段だ。UMATIのスタッフやCHWたちは、「にわとり4~6羽分で6人の1年間の健康が守られる」といった地域住民にわかりやすい形でCHF加入の価値について説明したり、農作物を販売して得られた収入を少しずつ貯蓄したりすることなど地域住民が取り組める方法を提案しながら、いざという時に備える重要性をていねいに説得して回っている。にわとりそのものを持ってきてCHFに加入できた人もいたという。

UMATIによると、すでに、マラリアの罹患や子どもの咳などで、CHFカードを活用して地域の診療所にかかることができた人がいたという。バヒ県キグウェ村のCHWのルーシー・アドヒア・マダハさんは「家を訪問しても不在だったり、お金がなかったりする人もいますが、今すぐに支払えなくても収穫期などに加入することを勧めています」と、一層の住民のCHF加入を呼びかけている。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)は、地域住民の理解と具体的な行動なしに達成し得ない。UHC達成にむけた草の根の取り組みは、さっそく功を奏し始めている。

地域の保健センターに訪れた母子

CHFカードを持つ住民

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