1日150人!?求められる「移動クリニック」(ミャンマー)
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2019.12.25
JICAの草の根技術協力事業として、ジョイセフがミャンマーで進めているプロジェクト地域を訪ねた時のことをお話します。
2019年12月21日、農村保健所から離れたテゴン・タウンシップのパディゴン地区に出向きました。この地区では、住民に無料で保健サービスの提供(2カ月に1度、異なる村を訪問)を行う「移動クリニック」を実施しています。その活動の詳細を関係者にインタビューしました。
「移動クリニックは何時から開かれるのですか?」
「朝の9時からです。」
「何時まで開いているのですか?」
「最後の患者さんの診察が終わるまでです。」
決まった時間ではなく、診察が必要な最後の一人が終わるまで、という答えが意外で、思わず「え?」と身を乗り出しました。
移動クリニックは、遠隔地に医師や助産師が出向き、各地の学校やお寺を借りて診療サービスを提供します。さらに遠いところに住んでいるお年寄や体調の悪い人は、母子保健推進員が三輪タクシーで迎えに行き、付き添います。
また、寝たきりで移動が難しい患者さんのために、医師が家まで出向いて診察をすることもあります。
こうして、1日約150人の住民が保健医療サービスを受けるとのことです。移動クリニックの前日には、地区長たちが情報を知らせて回ります。
この移動クリニックには、地元の市民グループが薬を無料で提供し、支援しています。
ジョイセフが「コミュニティ活動計画」の計画・実施・見直しのプロセスを支援してきたことで、このように行政と住民の連携の下で、保健サービスの提供が行われるようになりました。
また、別の事例として、テゴン・タウンシップのガクアイン地区では、住民主導による緊急搬送の仕組みができています。村で車をもっている人たちが、輪番制で緊急の際には車を出し、病院までの搬送を手伝います。
助産師が緊急搬送が必要な事態と判断すると、まず、村落行政官に連絡が行き、村落行政官が車を持っている9人に順番に連絡をとり、車が手配されます。
いずれの活動でも、保健スタッフである助産師、地域行政の長である村落行政官、保健ボランティアである母子保健推進員、そのほかにも地域組織のメンバー等の、その地域に住んでいる人たちが協働することで、母子保健を推進する仕組みができています。
ミャンマーの農村地域でも「誰一人取り残さないために」という世界共通の目標に向かって、たくさんの保健活動の担い手たちが、今この瞬間も活躍しています。