SDGsを通じたジェンダー平等を考える勉強会を開催

2019年12月26日

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 ジョイセフは、2019年12月5日、SDGs市民社会ネットワーク ジェンダーユニット共同幹事として、今年一年を締めくくる勉強会「ジェンダー平等 飛躍の2020年」を開催しました。日本で初開催となったG20や1994年の国際人口開発会議(ICPD)25周年を記念するナイロビ・サミットなど、ジェンダー平等を主要なテーマに据えてさまざまな国際会議が開催された一年を振り返り、ゲストとともに2020年に向けてどのような活動を行っていくべきかを考えました。

G7、G20で何が話し合われ、市民はどのように参加したのか

 勉強会の前半では、主要国首脳の会議の場であるG20サミットやG7サミットの中でのジェンダーに関連する動きについて、3人のスピーカーが概要を報告しました。
 国際協力NGOセンター(JANIC)の堀内葵さんは、G20の日本初開催に伴って活動した8つのエンゲージメントグループと、その中で女性やジェンダーの問題がどのように扱われたかを解説。エンゲージメントグループは、NGO/NPOなどの市民社会(C20)のほか、産業・ビジネス界(B20)、労働組合(L20)、科学・研究者(S20)、シンクタンク(T20)、都市(U20)、女性(W20)、若者・ユース(Y20)ができたが、全てのエンゲージメントグループでジェンダーについての関心を高めることが重要との考えを示しました。
 G7のジェンダー平等諮問委員会委員を2018年から2期連続で務めた弁護士の林陽子さんは、G7サミットにおける女性やジェンダー問題の扱いについて解説しました。1994年以降、G7では途上国女性の支援が議題に上がるようになりましたが、2017年のイタリア・タオルミーナ・サミットでようやくジェンダー平等のためのロードマップが作成され、2018年のカナダ・シャルルボワ・サミットでトルドー首相が「ジェンダーレンズ(ジェンダーに注目した視点)」の重要性をうたって、初めて任期1年のジェンダー平等諮問委員会が設置されています。今年のフランス・ビアリッツ・サミットにおいても同委員会は継続して設置され、戦時の女性への性暴力に対する啓発・医療活動でノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラド氏とデニ・ムクウェゲ氏も委員を務めました。林さんは、今年の同委員会では、先進国とされるG7メンバー国の中にもジェンダー差別的な法律が残っていることを自覚し、各国が個別にアクションを取ることを求めるとともに、G7参加国以外も含めた世界各国のジェンダー平等に関する法令をまとめ、各国がこれを参考に法整備を進めるよう求めたことなどを報告しました。

 2019年のC20共同代表で、2019年G20サミット市民社会プラットフォーム共同代表を務めた三輪敦子さんは、自身が参加したC20、G20、W7を振り返りました。特に今回のG20では前開催国では設置されていたジェンダー作業部会が日本政府内に設置されず、サウジアラビア代表から「ジェンダー作業部会が日本で設置されなければ、来年の議長国であるサウジでも設置を求めるのが難しくなる」と指摘されたと語りました。その上で、C20ジェンダーワーキンググループが、G20エンゲージメントグループのうちL20、T20、W20、Y20とともにジェンダーに関する2つの共同声明を出したことを報告。ジェンダーの課題はC20のさまざまなワーキンググループでも取り上げられましたが、ジェンダー主流化にはまだ遠く、セクストーション(性的脅迫)など研究すべき新たな課題も積み残されていることを指摘しました。

ICPD+25、北京+25、SDGsを通じて
ジェンダー平等をいかに戦略的に進めるか

 勉強会の後半では、そのほかの国際会議に参加したスピーカーの報告と、今後に向けた取り組みの議論を行いました。
 カイロでの国際人口開発会議(ICPD)から25年を経て開催されたICPD25(ナイロビ・サミット)に参加したジョイセフ事務局長の勝部まゆみは、ナイロビ・サミットではリプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する3つの数字(家族計画サービスにアクセスできない人の数、予防可能な妊産婦の死亡数、児童婚)を「ゼロ」にするという目標を掲げ、ジョイセフを含むさまざまな国・地域や団体、企業などがのべ1253のコミットメント(行動計画)を発表し、「25年後にICPD50を開催する必要がないよう、ここで行動を起こそう」との声が高まったことなどを報告しました。
 国連女性の地位委員会日本代表で城西国際大学招聘教授の田中由美子さんは、北京+25アジア太平洋地域閣僚級会合での日本のステートメントと会合の成果文書について解説しました。数値的な改善は多少あるものの、いまだに課題の残る日本の男女共同参画の現状や、会合における日本の議論を総括。その上で、北京行動綱領の実施に向けた行動などをうたった成果文書は、米国だけが最後まで反対したため、全会一致ではなく多数決(37対1)での採決になったことなどを報告しました。
 北京+25ユースタスクフォースの日本代表として活動する山口慧子さんは、北京+25レビューに世界の若者の参加を促すために設置された同タスクフォースの活動や、世界各地から多様性のあるメンバーが集められたこと、ユースが直面する課題に関するアンケート、認知を広めるためのオンラインセミナーの開催などの取り組みについて説明し、今後は大学同士の横のつながりを深めていきたいと語りました。
 SDGs市民社会ネットワーク ジェンダーユニット共同幹事の織田由紀子さんは、2016年4月にSDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)の設立時から活動している同ユニットが、C20の運営や勉強会の開催、SDGs実施指針の改定に向けたアドボカシー活動などを行っていることを説明。SDGsにおけるジェンダーの主流化を加速させるために幅広いステークホルダーと連携し、2020年の北京+25や2020年末に公表予定の第5次男女共同参画基本計画などの機会を活用していくことの重要性を論じました。
 発表後はディスカッションや質疑応答が行われ、若者の間ではフェミニズムが好意的に受け止められている一方で政治参加意欲が低いことや、多くのステークホルダーがジェンダーへの取り組みの重要性を実感していない問題などを議論。その上で、「ジェンダー課題が自分たちの生活に密着した、身近な問題であるという認識を広めることが重要ではないか、などの意見を交わしました。
 最後に、ジョイセフ理事長の石井澄江が、SDGs市民社会ネットワーク ジェンダーユニット共同幹事の立場から「以前は国連の枠組みが中心だったジェンダー課題への取り組みだが、近年はG7やG20など新たな枠組みが作られており、それらを活かしてジェンダー課題の解決を訴えていくことが重要になりつつある」と指摘し、今後も国際情勢に沿った情報提供を続けていきたいと締めくくりました。

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