第5次男女共同参画基本計画についての勉強会を開催

2020年7月17日

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 ジョイセフが共同幹事を務めるSDGs市民社会ネットワーク ジェンダーユニットは、2020年7月9日、オンライン勉強会「男女共同参画基本計画に私たちの声を!」を開催しました。年内の策定が予定されている第5次男女共同参画基本計画(以下、5次計画)に向けて、現在、策定がどのように進められているのかを知ると同時に、夏に予定されているパブリックコメントで私たちが何をインプットすべきかを学ぶのが目的です。
 当日は、内閣府の担当官と、5次計画の策定に携わっている専門家がそれぞれの分野について個人の資格で解説。参加者は総勢202人となりました。

第1部 基本計画改定の骨格・日程について
 内閣府男女共同参画局の佐藤勇輔企画官は、5次計画の策定スケジュールについて、2019年11月の内閣総理大臣による諮問に始まり、6回の専門調査会、20年8月予定のパブリックコメントや公聴会を経て、男女共同参画会議が計画を策定するための方針にあたる「基本的な考え方」を内閣総理大臣に答申し、その後「考え方」に基づいて年内をめどに5次計画が閣議決定されるまでの流れを説明。その上で、7月2日に開かれた第5回専門調査会で固まった「基本的な考え方」(骨子案)について解説しました。

 骨子案は2部に分かれ、第1部では「基本的な考え方」としてどのような社会を目指すべきかや、社会情勢の現状と課題、取り組むべき事項などがまとめられ、第2部では分野別にさまざまな政策が提案されています。佐藤さんは、「専門調査会でも、日本ではジェンダー平等の達成度合いが諸外国に比べて遅く、特に経済・政治の両分野において遅れが顕著となっているので、改善を加速させていく必要が論じられている」と述べました。また、第4次計画まで目標として掲げられていた202030(2020年までに、管理職などの指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標)の達成がほぼ不可能となった今、これからどのような目標を立てるかということについては、現在議論されているワーキンググループから第6回専門調査会で報告が行われる予定であり、その報告を踏まえて「基本的な考え方」の素案に次なる目標が盛り込まれる予定という。佐藤さんからは最後に市民社会の皆さんと一緒になって計画を作っていきたいとの言及がありました。

第2部 基本計画に含めるべき日本のジェンダー課題とは
 東北大学名誉教授・明治大学法科大学院元教授で、5次計画の専門委員を務める弁護士の辻村みよ子さんは、政治分野の現状と、女性の政治分野への進出を後押しする「ポジティブ・アクション」の必要性を強調しました。

 2019年12月に世界経済フォーラムが公表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)の政治分野の評価で、日本は世界153カ国中144位とワースト10に入っていることを指摘し、近年上位を占める北欧や中南米、アフリカなどの国々を含め、世界では100カ国近くが議席のクオータ制、候補者のクオータ制など、政治の場に女性が進出しやすくするさまざまな仕組みを取り入れているとしました。
 一方で、日本は女性参政権が認められた直後の1946年をピークに、女性の国会議員の割合は低迷を続け、2005年になってようやく1946年の数字を超えるなど、長年にわたって女性参画が進みませんでした。特に、多くの国では地方議員を振り出しに、経験を積みながら徐々に国政の中央へと進出していく流れがある中で、日本では地方議員に女性が少ないことも女性の国政進出の足かせとなっているとして、なんらかの割り当て制度を導入することが多様性の確保につながると強調しました。

 富山県議会議員で5次計画の専門委員も務める種部恭子さんは、長年、産婦人科医として女性の身体と向き合ってきた経験から、女性活躍のために女性の健康向上と女性に対する暴力の根絶は不可欠との考えを示しました。近年、日本では中絶総数こそ減っていますが、妊娠した10代女性の9割は妊娠を予期しておらず、6割が中絶を選んでいます。また、出産を選ぶケースのうち3割は結婚しないシングルマザーとなっており、高校を中退するケースも多いことから、十分な収入のある仕事につけず貧困に苦しむことが多いとしました。

 また、出産しているケースでも自ら望んで出産を選んだ女性ばかりではなく、周囲が妊娠に気付かない、相談する相手がいない、性的虐待が原因で加害者に口止めされているなど、性教育やリプロダクティブ・ヘルス・サービスへのアクセスがあれば望まぬ妊娠・出産を防げたはずのケースが多いとした上で、10代の若者に対しては低用量ピルなどの避妊手段をセーフティーネットと捉え、利用しやすくする必要があると語りました。
 一方で、性暴力ワンストップセンターが全都道府県に設置されたことは、性的暴力への対応として大きな成果だと指摘し、「女性の貧困、女性の健康、女性への暴力はワンセットで考えていくべきだ」との考えを示しました。

 中央大学教授で5次計画の専門委員である山田昌弘さんは、家族社会学の専門家として、また専門委員会では地方部会の委員として、日本の女性活躍が大きく出遅れている現状について解説しました。その上で、少子化の進行や経済の低迷、若い女性に活躍の場がない地域社会の衰退など、女性活躍の低迷は社会全体に悪影響を与えると指摘しました。

 山田さんは、日本で男女共同参画が進まない理由として、企業や社会の発展を目指すよりも、伝統的な秩序の維持を守って衰退する方がましだと考える「世間体重視社会」を挙げ、労働慣行や社会保障制度などが女性の活躍の妨げとなっていると述べました。それを解決するために必要なのは職場における身分制度(一般職・総合職、正社員と非正規社員などの形による男女の差別)の撤廃や、中間管理職がワークライフバランスを実現できる企業風土の醸成、安定した収入を持つ男性と主婦もしくは非正規社員の女性という前提で作られた社会保障制度の見直しが必要だと強調しました。

 質疑応答の最後には、講師から、5次計画を実りあるものとするために、パブリックコメントが募集された際は、5次計画を後押しする意見を積極的に寄せてほしいとの要望がありました。

第3部 ネットワークセッション
 講演後には、質疑応答とネットワークセッションが行われ、参加者が6つのテーマに分かれて「第5次基本計画に何を重視するか」について議論し、多くの意見が出されました。

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