軍事クーデターから1年、 ジョイセフが支援するミャンマーの現場から最新レポート。

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2022.5.9

皆さまからいただいたご寄付によって、ジョイセフが事業を行っているエヤワディ地域のチャウンゴンタウンシップ(郡区・地域)の61の医療施設で働く201名の基礎保健スタッフに、マスクや医療用手袋といった防護具と医薬品を届けることができました。

4月25日支援報告

2021年に勃発した軍事クーデターから2月1日で1年が経ちました。民主主義を求める市民と軍の間で対立が続き、新型コロナウイルス感染拡大も相まって、ミャンマーは政治的にも社会経済的にも激動の中にあります。その混乱は収束する兆しが見えず、長期化することが懸念されています。

緊迫した状況が続き、国際社会からの支援も滞る中、ジョイセフはミャンマーでの活動を継続しています。2021年9月には皆さまからいただいたご寄付によって、ジョイセフが事業を行っているエヤワディ地域の3つのタウンシップ(郡区・地域)の医療従事者500名に、マスクや医療用手袋といった防護具を供与することができました。

現在、医療従事者だけでなく、この困難な状況でも活動を続けている母子保健推進員(MCHP)に対してもマスクや手指消毒剤を提供できるように準備しています。また、医療施設を訪れる妊産婦用のマスクも準備し、安心して受診できる環境づくりを進めています。

防護具の他に、既存のものを改訂したMCHPハンドブックや、妊婦用の鉄分および葉酸の錠剤といった物資も提供します。本来ならこれらの物資は国や州から支給されるものです。しかし、配給が滞っていたり、数が不足したりしていることから、タウンシップと相談の上、ニーズの高いこれらの物資を支援することを決めました。

刻々と変わる状況に応じて、最も必要な支援を行っていく。

現地の女性の命と健康を守るため、MSD株式会社によるグローバルNGO支援プログラム「MSD for Mothers」のご支援で実施してきた家族計画・妊産婦保健サービス利用促進プロジェクトも再開しました。しかし現地の情勢が混迷を極める中、予定していた通りの計画では実施できず、必要とされる支援内容も変わってきています。

私たちはMCHPや助産師などにヒアリングを行い、現在の生活状況や最優先されるニーズについて調べました。ニーズに応え、かつ、今の状況下で実施できる活動は何なのか。各タウンシップの関係者たちと何度も話し合いを重ねた結果、MCHPの再研修の実施、医療施設への安全なお産キットやビタミン剤などの基礎的な医薬品の供与、使いやすく簡素化したバウチャーシステム※の実施といった必要性の高い活動を実施することにしました。

※バウチャーシステムとは?
医療施設に行くための交通費、出産で入院する際の食事代といった経済的な負担が医療施設を受診する上でのバリア(障壁)となっているため、妊婦健診や出産で医療施設を訪れた女性に、現金と引き換えられる「バウチャー」を手渡しています。バウチャーシステムの資金はコミュティ内で各世帯から集められ、ジョイセフはその仕組みづくりをサポートしています。

軍事クーデターと新型コロナによって貧困が深刻化する農村地域

エヤワディ地域は、他の地域と比較すると状況は落ち着いていますが、それでも新型コロナウイルスやクーデターの影響は甚大で、人々の生活は大きく変わってしまいました。

農村地域のため、住民の多くは農業に従事しています。種を買ったり農機具を借りたりするために借りたローンが返せず、次の農期のために必要なお金も借りられず、貧困に陥る人が少なくありません。バウチャーシステムを実施していた多くの村でも、コミュニティからお金を集めることが難しくなり中断せざるを得ない状況です。

マーケットの様子


 

人々の関心が政治一色になり、女性や子ども達の健康に意識を向けてもらうことも難しくなっています。先月、現地スタッフがエヤワディに出張に行った際には、部外者であるスタッフを訝しげに見る住民もいたそうです。

このような中で、どのように現地のスタッフや関係者の安全を守りながら、現地のニーズに即した活動を実施していくかが大きな課題となっています。困難な状況にあっても活動を続けているMCHPや医療従事者たちに寄り添い、力を合わせて、ともにこの困難な状況を乗り越えていきたいと思っています。引き続き温かいご支援をお願いいたします。

4月25日支援報告

皆さまからいただいたご寄付によって、201名の医療従事者に、マスクや医療用手袋といった防護具と医薬品を届けることができました。現地から届いた写真とお礼状をご紹介します。

チャウンゴンシップ医療従事者代表からのお礼状

(和訳)

ジョイセフは、2014年より様々な形でチャウンゴン・タウンシップを支援してくれています。2014年から2016年には、母子保健の改善のために、コミュニティの能力強化プロジェクトを実施しました。プロジェクトが終了した今でも、私たちの地域をサポートしてくれています。新型コロナウイルスが蔓延している状況下でも、私たちのコミュニティのために、様々なコロナの感染防止のための防護具や医薬品をいただきました。

 親愛なるジョイセフの皆さん、チャウンゴン・タウンシップ医務官として、基礎保健スタッフや地域のために、個人用防具や必要な医薬品を寄贈してくださり、心から感謝しています。皆さんのおかげで、基礎保健スタッフはチャウンゴン・タウンシップのコミュニティの健康を守り、向上させることができます。
 皆様からのご支援は私たちにとってかけがえのないものです。本当にありがとうございました!