
10月11日は「国際ガールズデー」です。
2人の娘を持つ母親として、そして国際協力NGOジョイセフの職員として、毎年この日を迎えるたびに、「私たちが次の世代に手渡せる未来とはどんなものだろう」と思いを馳せます。
今から約10年前。若い世代に「自分の身体と人生の選択権」つまりはSRHR:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを伝えたい一心で、電通ギャルラボをはじめとするクリエイターの皆さんと手を携えてスタートしたのが「I LADY.」でした。
「Love Yourself(自分を大切にする)」「Act Yourself(自分から行動する)」「Decide Yourself(自分で決める)」の頭文字を取ったこの言葉。当時のチャリティーや国際協力の「かわいそうだから助ける」という文脈を覆し、「自分自身を大切にすることが、世界とつながり、世界を変える一歩になる」という新しい視点と共感を作ろうとした挑戦でした。

「自分の人生は、自分で決めていいんだよ」
この切実で前向きなメッセージを掲げ、私たちは若者が同世代にSRHRを広める「ピア・アクティビスト」の育成を中心に、全国でプロジェクトを展開してきました。多くのメディアにも取り上げていただき、全国の若者たちが自分の意思で輝き出す姿を何度も目撃してきました。

ILADY.ピア・アクティビスト養成研修 参加者の様子
しかし、この10年の道のりは決して平坦なものではありませんでした。
立ち上げ間もない2017年、私たちは大きな壁にぶつかります。ウェブコンテンツ「女子力テスト」やプロモーション動画の表現を巡り、多くの厳しくも切実なご批判を受け、激しい炎上を経験しました。当時は大きなショックと責任の重さに打ちひしがれましたが、私たちは寄せられた声を真摯に受け止め、動画を取り下げ、専門家や市民の皆さんとの対話を重ねて発信のあり方を根本から見直しました。
あの痛烈な経験があったからこそ、私たちは「社会にメッセージを届けることの重み」を深く学びました。多様な生き方や苦しみに寄り添う専門家(スーパーバイザー)の監修体制を整え、言葉ひとつ、データひとつに真摯に向き合う姿勢を徹底したことで、私たちの発信するコンテンツの質は飛躍的に高まり、NGOとしての信頼性と発信力に磨きがかかったのだと自負しています。
一方で、立ち上げ当初からずっと抱え続けてきた問いもありました。
「LADYという言葉を使うことで、男性や多様な性を持つ人たちが“自分たちの問題だ”と感じにくくなっているのではないか?」という点です。
実は立ち上げ当時、私たちが何よりも最優先にしたのは「まず知ってもらうこと(認知)」でした。まだ「SRHR」という言葉すら広がっていない中で、あえて「LADY」という女性を直感的に連想させるタイトルにすることで、一般の人々が咄嗟に性や男女・ジェンダーの問題だとイメージできるように期待を込めた戦略的選択でもあったのです。
しかし、認知が広がり、活動が深まってきたからこそ、次のステップへ進むときが来ました。
SRHR(性と生殖に関する健康と権利)は、本来、女性だけのものではありません。性別を問わず、誰もが自分のからだについて正しい知識を持ち、自分の意思で選択し、そしてお互いの選択を尊重し合うための基本的人権です。男性も、パートナーも、あらゆるルーツを持つ人々も、垣根なく共に肩を並べて学び、関われる場を作りたい。

ザンビアのムタバ地区で養成されたピアエデュケーターたち
だからこそ、私たちは節目のこの10月に、あえて「I LADY.」という役割を果たしてくれた大好きな名称を卒業することを決めました。
誤解しないでくださいね。「I LADY.」という名前は卒業しますが、ジョイセフの国内での人材育成やSRHR推進活動が終わるわけではありません。むしろここからが本番です!
「Beyond LADY」へ。
これまでの10年で育んできたピア・アクティビスト人材育成の知見をベースに、性別や枠組みを超えて、誰もが「自分のからだも人生も、自分で決めるのが当たり前」と思える社会づくりへ向けて、私たちの国内アクションはさらにスケールアップし、強化していきます。

フェリス女学院大学でのILADY.ピア・アクティビスト養成研修の様子(2026年。ジョイセフスタッフ林(写真一番右))
我が家で成長する2人の娘たちを見つめていると強く感じます。彼女たちが生きるこれからの未来には、性別による制限も、正しい知識を得られなかったがゆえの孤独や後悔も、あってはならないのだと。
10年前に投げかけた問いは、試行錯誤を繰り返しながら、しっかりと社会に根を張り始めています。これまで「I LADY.」を愛し、時に厳しく、時に温かく育ててくださったすべての方々に、心からの感謝を込めて。
LADYを超えて、もっと自由に、もっとパワフルに!すべての人が自分の人生の主役になれる未来へ向けて、ジョイセフのSRHRアクションはこれからも全力で進化し続けます!

加工が過ぎて、もはや実物とは別人レベルのプリクラ
そこに母の年齢も落書きして楽しむ娘たち(笑)
- Author

小野 美智代
カンボジアの友人が出産により命を落としたことをきっかけにジョイセフへ転職。これまで広報グループ長、市民社会連携グループ長、デザイン戦略室長、事務局次長を歴任し、2025年4月からはパートナーシップグループのディレクターとしてコミュニケーション・ブランド強化とファン拡大に取り組む。自他共に認める熱血&お調子者で、走りながら考え、創造することが得意。チャリティーピンキーリング、ホワイトリボンラン、I LADY.を発起。 プライベートでは、2人の娘と同い年の夫との4人家族。2005年から事実婚の形を選び、新幹線通勤を続けている。
包括的性教育とは。自分の性とからだと人生を、自分で選ぶための学び。
9月26日は世界避妊デー
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