母子支援に参加する男性を増やす。 それが自分の役割だと思う。

市民社会連携グループ
柚山 訓

私には娘が2人いて、生まれる時はどちらも切迫早産でした。

長女の時は、切迫早産がわかって以後、妻が緊急入院して出産までの約3カ月間、24時間点滴をしている状況でした。そして、無事に出産。立ち会った私は、命の誕生に強く感動を覚えました。

と同時に、これが途上国だったら?とふと思ったのです。子どもは生まれていないかもしれない、生まれたとしても医療基盤やシステムの状況によってはリスクを抱えて生まれたかもしれない…。
もともと国際協力に興味があり、20代の後半にカンボジアに2年ほど行っていました。その後、一般企業に就職したものの、この先ずっと会社勤めでいいのかと思う自分もいました。

しかし長女の出産を機に、国際協力の分野で途上国に関わる仕事がしたい、母子の命を守る活動をやっているところで働きたいと考え、インターネットで検索。最初に出てきたのがジョイセフでした。ホームページに掲載されている活動内容に共感したことで、入職することになります。

母子の命を守る活動に
男性は理解がない、は間違い。

ジョイセフでは広報・アドボカシーセクションを担当し、保健分野のNGOのネットワーク(外務省との定期懇談会を運営)事務局を担当してきました。つまりしばらくは、一般の方との接点を持たないポジションにいたわけです。

2020年の西日本豪雨発生時から国内の災害支援も担当することになりましたが、そこで考えるようになったのは、途上国支援に思いを馳せ、支援を増やすには、これだけ国内でも災害が起こっている現状を見ると、国内の問題や課題から出発して、その先に海外があるという道順を考えていく方が良いのではないか、ということ。また、男性の支援者がもっと増えてほしい、ということ。特に男性の支援者を増やすことは、私にとっての一番の課題です。しかしどう訴えていけば…という壁に直面しているのが、正直なところです。

男性にリプロダクティブ・ヘルス/ライツの話を真っ正面からしても、恐らく男性にはそれほど響かないし、意識が芽生えて行動が変わることはないでしょう。しかし、だからと言って男性には理解されないというのは間違いだと思っています。何かのきっかけがあれば、男性も母子の命を守る活動に意識を向けてくれるはずです。妻やお子さんが健康であればなおさら、そこまで考えることがないだけかもしれない。

私のような実体験があれば、母子の命を守るために、と直結して考えられるかもしれないし、国際協力に興味があれば途上国の現状に思いを馳せることができるかもしれません。男性への突破口は何なのか、そこに悩む日々が続いています。

ジョイセフの支援の現場や団体は特に日本国内で見ると、マジョリティーは女性です。女性が多い環境に慣れてしまうと、「こういうことを男性ならどう思うのか」といった視点がたまに自分から抜けてしまいそうになります。それでは駄目で、自分は母子や妊産婦支援の現場に男性をつなぐ立場として動くことを役割だと自負し、考え、そして行動として実践し続けなければなりません。

途上国のプロジェクトも、日本でジョイセフが展開しているI LADY.も、男性参加は不可欠だといつも考えています。しかし現状は、男性が十分に参加できていないわけなので、違うやり方を見出したり、改善の余地があるのではないかと思っています。

女性の問題に男性が目を向け、理解が進む。
そのための活動を始める時期かもしれません。

実は私、「イクメン」という言葉が苦手です。育児は手伝うとかいうレベルの問題ではなく、夫婦が互いに主体的にやっていくことだと思うからです。しかし世の中の男性の中には、イクメンと言われたらうれしく思う人もいます。一方で、女性自身もイクメンという言葉をポジティブに使う人がいます。なぜでしょう?

ママと同等にパパがやらないから、少しでも鼓舞できるようにイクメンと呼んでいるのかもしれません。イクメンという言葉を気に入って使う人、理由があって使う人、使わない人、いろいろな立場と思いがあります。

パートナーの呼び方についても、同じようなことが言えます。

奥さん、家内、嫁という言い方は、男女平等じゃないからNGワードだと聞いてから久しいのですが、では何と呼べばいいのでしょう? 伴侶? パートナー? 。そのような迷いもあり、私は今、誰が聞いても問題がないと思えるスイートハートと、私の妻のことを表現しています(笑)。

イクメン、そしてパートナーの呼び方。これらは日本特有のジェンダー課題があると感じています。本当は言葉よりも中身・気持ちが大事なので、表現をそこまで気にしなくてもいいはずです。
家事・育児に関しては、二人で話し合い、できる人ができる時にできることをやればいいでしょうし、パートナーの呼び方については、場に応じて、コミュニケーションが円滑に進む最良の言葉や呼び方を選んで使えばいいと個人的には思っています。

近年、妊娠・出産・子育てに関して男性参加がクローズアップされています。その潮流が強くなっているのは、途上国支援の現場でも男性参加が意識されていることからもうかがえます。日々悩みながらではありますが、ひしひしと感じているのは、女性の問題に男性が目を向ける、理解を促すような活動をしていく時期に来ているということです。では、私は何をするか?

出産が原因で命を落とす女性は救うべきだ、若年妊娠を減らすべきだというのは間違いなく事実です。しかし男性が家事育児に参加すべきだ、というのは、絶対的な事実ではなく、できない事情も考えて発言する必要があります。大切にしていきたいのは、そこで話が終わるのではなくて、「そういう考え方もあるのか」という気持ちが起こるように促していくことです。それが恐らく、私の役割なのだと思います。まずは「ジョイセフフレンズ」を増やしていく過程で、その中に占める男性の割合を少しでも増やすこと。

そして女性も男性も、同じ思いで母子・途上国支援に参画してもらえる環境を整えていきたいと思います。

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