カンボジア北部州遠隔地域における ⺟⼦・思春期保健サービス強化プロジェクト

地域カンボジアアプローチ保健システム強化ヘルスプロモーションSDGs3.すべての人に健康と福祉を5.ジェンダー平等を実現しよう17.パートナーシップで目標を達成しよう

プロジェクト名 カンボジア北部州遠隔地域における母子・思春期保健サービス強化プロジェクト
Project to Improve Maternal and Adolescent Health through Empowering Communities and Strengthening Primary Level Health System in Stung Treng Province
実施国 カンボジア
活動の目的 スタントレン州において、十代の少女や先住民族および少数民族出身者を含む脆弱な状況にある女性・幼児・児童に対する質の高い母子保健ケアおよび生活習慣病サービスへのアクセスを改善する
実施地域 スタントレン州
対象人口 46,876人の生殖年齢の女性(15-49)と10-24歳までの若者18600人(15-24の女子は重複)
実施期間 2024年12月~2027年12月
スキーム等 民間企業協力事業
共同実施機関(現地) Reproductive Health Association of Cambodia (RHAC)(カンボジアリプロダクティブヘルス協会)
背景
  1. カンボジアは、東南アジア地域で妊産婦死亡率が最も高く(出生数10万人当たり154、CDHS 2021年)、中でもスタントレン州は10代の妊娠の割合が全国平均9.3%に比して、24.6%と最も高くなっています。原因としては、州の人口に占める割合の多い先住民および少数民族の間で見られる早婚の慣習、妊娠出産に関する知識の低さがあげられています。
  2. 母子保健サービス利用に関しても、産前健診(妊娠期間中4回以上)が全国86.1%に対し65%と低く、医師あるいは助産師の介助による分娩率全国98%に対し90%、産後2日以内の産後ケア受診率、近代的避妊法の普及率も全国平均より低くなっています。
  3. 保健情報が医療情報の整備状況に課題があるため、保健情報の集約に時間がかかっています。そのための研修機会も限られており、報告内容の信頼性が低く、必要な対応が遅くなります。
  4. 農村地域で、森と河川も多く、居住地域も散在していることから、村の保健センターから2次、3次医療施設への紹介や緊急時搬送が困難で課題とされています。雨が降ると道路が通行困難になります。
  5. 社会経済指標のうち、貧困率が高く、十分な食料の確保が困難な世帯が多い地域です。
主な活動
  1. 保健センターで提供される母子と若者への保健サービスの質を向上させるため、草の根で医療を提供する医療従事者の能力強化と、それをサポートするための遠隔診療(Telemedicine)の導入を行います。
  2. 母子や若者による性と生殖に関する健康(SRH)サービス利用を促進し、改善するために、個人とそれを取り巻く社会へ向けた啓発活動を行います。それらを通じて、対象となる母子や若者の意識を高めるとともに、地域社会の認識を高め、文化・社会的な障壁を克服し、母子保健サービスの利用を促進し、児童婚や思春期の妊娠を防ぐための支援体制を確立します。
  3. 活動のモニタリングと評価を行い、得られた教訓を取り入れて、より効果的で質の高いプログラムの実施に活かします
プロジェクトの概要 42人の若者代表を選んで、研修を行いました。

1.チャンタ・ノエップさん Chantha Noeup
若者代表研修受講生:Santephap中学校 14歳、8年生(日本式では、中学2年)10人家族、8人兄弟の4番目。先住民族

「私のコミュニティでは早婚が一般的で、性と生殖に関する健康に関する知識は非常に限られています。だからこそ、RHACの若者代表に選ばれ、性と生殖に関する健康と権利に関する2日間の研修に参加できたことを、とても嬉しく、誇りに思います。この研修を通して、健康に関する貴重な知識を得ることができただけでなく、他の対象校の新しい友達とつながることができました。経験を共有し、強い人間関係を築く素晴らしい機会となりました。」
「研修を修了し、健康問題についてより自信が持てるようになり、知識も深まりました。この重要な知識をクラスメイト、家族、そして地域社会と共有していきたいと思っています。この研修が早婚の減少につながり、より多くの若者が自信を持って医療サービスを受けられるようになることを願っています。」

2.ピッチ・ジュニさん Pich Juni
17歳、Hun Sen Kosh Sralay 高校11年生(日本式では高校1年生

彼は当初、プロジェクトが実施した研修への参加が危ぶまれていました。交通手段がなく、宿泊施設の確保が難しい状況でした、研修参加費がいるのではと、家族は彼の参加を躊躇していました。研修費は無料であることがわかり何とか参加することができました。研修に参加した後、ピッチ・ジュニさんは若者の健康に関する貴重な知識を得ることができ、それが研修後の彼の活動への後押しになったとのことです。さらに、他の学校の仲間と出会い、交流する機会を得たことで、ネットワークは広がり、地域社会への関わりも強まりました。この経験は彼の自信を高め、若者リーダーとしての能力を高めたとの報告が、現地実施団体であるRHACから届きました。