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カンボジアからのご報告~女性の過酷な現状とジョイセフの支援の成果

2025.9.9

  • 途上国の日々
  • 活動の現場から
  • ジョイセフフレンズ通信

こんにちは。ジョイセフ事業グループの吉留です。

さて、私は今現在、カンボジアスタントレン州にいます。

スタントレン州は首都プノンペンから車で7時間以上、約480キロ離れた隣国ラオスと国境を接する東北部にあります。メコン川含め4本の主要河川が交差しています。雨季の今は、これらの川の水量が増え、4月に訪れた乾季の景色とはまるで別世界。前回は陸地だった場所にボートがありました。

妊娠・出産をめぐる厳しい現実

カンボジアの妊産婦死亡率は出生10万に対して154人。東南アジアで最も高い水準です。こちらに滞在してわずか10日足らずの間に、スタントレン州で起きたいくつもの悲しい出来事についての話を聞きました。

・出産後44日目に高血圧で亡くなった32歳の母親。産後ケアを受けていませんでした。今、赤ちゃんは祖父母に育てられています。母乳の代わりに牛乳を与えられているそうです。
・8時間の難産を経て、100キロ以上離れた病院へボートと車で搬送された女性がいました。残念ながら赤ちゃんは助かりませんでしたが、母親は一命をとりとめました。
・38歳で8人目の出産を迎えた女性。夫を亡くし、貧困の中での出産でしたが、母子ともに無事退院できました。
・生後1か月の赤ちゃん。感染症が悪化し体重が1500グラムにまで落ちましたが、高度な治療に対応できる別の州病院に搬送され治療を受けています。

こうした厳しい状況を改善するためにジョイセフは今年から、カンボジアでの母子・思春期保健サービス強化プロジェクトを実施しています。

本プロジェクトでは、保健センターでの母子、若者に対する医療保健サービスの質を上げるため、助産師を始めとする医療従事者向けの様々な研修を実施しています。プロジェクトでは、保健センターだけではなく、中学・高校で包括的教育を実施できるように、教員への研修や若者リーダーの養成を行っています。加えて、地域保健推進員(Village Health Support Groupと呼ばれる)、行政担当者(州・郡)、および地域リーダーに対しても研修を実施し、地域住民が主体的に妊産婦のサービス利用を促進したり、若者への啓発活動を推進できる体制づくりを支援しています。

プロジェクトが始まってから8カ月ですが、希望の芽が少しずつ育っています。

・助産師や地域リーダー、保健ボランティア間の連携により、緊急時の対応力が高まっています。州病院への搬送のネットワークが整備され、母子の命が救われるケースが増えています。
・地域保健推進員がカンボジアの各村に2名ずつ、村人の投票により任命されています。本プロジェクトで初めて母子保健について研修を受けました。
・施設で出産する女性の割合が増えてきています。ある郡では、昨年は自宅出産が10件あったそうですが、現時点では1件と大きく減少が見られます。


現地スタッフからは、
「このプロジェクトがなければ、もっと多くの人が命を落としていただろう」
という声も。

若年妊娠という課題

この地域は、カンボジアの中でも特に若年妊娠の割合が多い場所です。13〜16歳で結婚・出産する少女も少なくありません。ある少女は、
「18歳を超えたら年増だと言われ、良い結婚ができなくなる」
と話していました。

保健センターで、出産記録の台帳を見せてもらいました。ところどころに赤いボールペンで書かれた数字がありました。19歳以下の人は、出産における合併症のリスクが高いので、赤字で年齢を記載し注意するように保健省から指導されています。

私は1か月間、現地協力団体や州の関係者とともに、社会行動変容を促すためのコミュニケーション戦略や教材づくりに取り組んでいます。
ワークショップには、中学生の若者リーダー、助産師、行政官が参加し、朝8時から夕方5時まで、熱心に知恵と意見を出し合っています。

社会の慣習や意識が、女性や若者の健康に関する「自分で決める力」を妨げないようにするにはどうすればいいか―皆で真剣に考え、実行につなげようとしています。

皆さまのご支援が、この変化を支えています。心から感謝申し上げます。


スタントレンの特産品、カシューナッツ。見たことのない大きなのもありました。日本にも輸出されているそうです。

移動途中で食べた串焼きバナナ。魚醤とネギでうっすら味付けされています

お知らせ

アフガニスタン東部​地震 被災女性と子どもたちを​救いたい​!



日本時間2025年9月1日未明、アフガニスタン東部でマグニチュード6.0の地震が発生しました。これを受け、NGOジョイセフは20年以上にわたり運営を支援しているナンガハール州ジャララバードの母子保健クリニックを拠点に、被災した女性や子どもたちを支援します。アフガン医療連合センターとの連携により、被害状況の情報収集、ニーズの把握を行いながら必要とされる支援を届けます。

https://donation.yahoo.co.jp/detail/923007
Yahoo!ネット募金からご寄付いただけます

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「性と恋愛」意識調査2025 結果発表!

ジョイセフは2019年から「性と恋愛」意識調査を実施してきました。4回目となる今回の調査では、日本社会に根強く残る“性と恋愛”をめぐる課題が浮き彫りになりましたのでご報告します。

👶 「子どもを産めるのに産まないのはわがまま?」
➡️ 若者男性30%、女性15%が「そう思う」と回答。依然として「産むべき」という圧力が存在しています。

💍 結婚・出産を望んでも…
➡️ 希望を阻む最大の理由は「経済的不安」。安心して選べる環境づくりが急務です。

🙅‍♀️ 気が乗らないセックスに応じた経験
➡️ 若者の35.1%、大人の52.4%が「ある」と回答。特に既婚女性では6割超。性的同意に関する理解不足や固定的なジェンダー規範が背景にあります。

👉 これらの結果は「同意」や「選択」の自由がまだまだ制限されていることを示しています。

調査結果はこちら

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冨永愛×SHELLY×ジョイセフ
YouTube配信「SRHRって何?なぜ性教育って大事なの?」

出演者: • 冨永愛氏(ジョイセフ・アンバサダー) • SHELLY氏(YouTubeチャンネル「SHELLYのお風呂場」主宰) • 小野(ジョイセフ)
「そもそもSRHRって何?」 「なぜ今、性教育が大切なの?」
こんな疑問を3人で深掘りしました💭
SRHRについて知りたい方、おさらいしたい方、ぜひご視聴ください。

▶️視聴はこちらかストーリーのハイライトから🌟:https://youtu.be/zJBaNu1r87M

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吉留 桂
2001年よりジョイセフを通じてセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの実現に向け国際協力活動に従事。主に社会行動変容コミュニケーション分野(コミュニケーション戦略構築、教材企画・開発、教材使い方指導、住民主体の課題解決に向けた仕組みづくり等)の技術協力を通じた、住民の行動変容や支援環境づくりに取り組む。アジア・アフリカ・ラテンアメリカ16カ国の事業に携わる。趣味は合気道と料理。