日本のI LADY.プロジェクト担当が見たガーナ
2025.12.11
- 途上国の日々
- 活動の現場から
- ジョイセフフレンズ通信
こんにちは。日本でI LADY.プロジェクトを担当している橋本です。いつも活動へのご支援ありがとうございます!
今回、ガーナで、若者向けの活動、母子保健活動の方々の聞き取りを行い、日本でのILADY.の活動に活かすために約一週間出張してきました。ガーナに行くのは初めてだったので、空港、街中、ホテルもとても新鮮な経験でした。今回は、ガーナに行くとどんな体験が待っているか、そしてプロジェクトの視察でどんなことを見聞きしたのか、の2本柱でご報告します。

「フフ」を食べるガーナスタッフドリーン(右)と、「ジョロフライスwithティラピア」を食べる橋本。後ろにはドライバーのフレッドもいます
1.ガーナってどんなところ?
成田~アクラまで
まずは入国に向けた手続きから。ガーナへの入国には、野口英世が研究していた黄熱病のワクチン接種が必須です。事前に予約して受けにいき、ビザはパスポート原本と接種証明書を大使館に送って発行!これまでビザは電子申請しか経験がなかったので、出発前から初めての体験がたくさんありました。他にも先輩スタッフに持ち物リストを聞いて、少しずつ準備していき、いよいよ出発の日を迎えました。
成田空港からガーナの首都・アクラまでは、ドバイでトランジットをして約23時間。出発した日(10月末)の東京都心の最高気温19℃でしたが、到着した日のアクラは最高気温31℃で湿気もある天気でした。
その土地のことを理解するならまずは食料品
海外でスーパーに行くと、私は麦芽飲料のMILOのパッケージをチェックします。ガーナでは学校に向かったり勉強している子どもたちと、サッカー(?)でゴールを決めてみんなで喜んでいると思われる絵でした。ちなみにニュージーランドではオールブラックスで有名なラグビー、フィリピンではウェイトリフティングなどでした。
スーパーがあるモールの入り口にはMerry Christmasの文字が掲げられており、中もすっかりクリスマスモード。日本でいう「ぽぽちゃん」のような人形は、様々な肌の色が並んでいました。ガーナ料理ジョロフライスのシーズニングや、プランテーン(バナナの形をした穀物)のチップスも売っていました。
首都にあるスーパーで ミロの缶が並んでいる棚。学校で挙手する子、リュックを背負って制服を着た子どもたち、ゴール前で喜ぶ子どもたちの3種のイラストがある
ホテルで水のトラブル
アクラのホテルに泊まった際には、蛇口を捻っても…水が出ない!同室だったガーナのプロジェクトを現地で担当している和美さんが確認してくださり、3時間ほど経って水が出るようになりました。
やっぱりご当地料理
この日の晩御飯は、バンクー(穀物を発酵させて練ったもの)というガーナのご当地料理とオクラのスープ。酸っぱいバンクーをちぎって、オクラ入りの少し粘り気のあるスパイシーなスープにつけて食べます。食事の前後には、ピッチャーに入ったぬるま湯と、石鹸、洗面器を使って手を洗いました。
アクラで食べたバンクーとオクラスープ
2.視察内容
ガーナ事務所と郡保健局でミーティング
1日目は、首都から車で片道約3時間のプロジェクト地、アセセワに移って、まずジョイセフガーナ事務所でのミーティング。ジョイセフ内部のオンライン英語レッスンで私の「先生」だったジョセフをはじめ、現地スタッフのみなさんと感動の初対面を果たしました!午後はプロジェクトの重要なパートナーである郡保健局を訪問しました。
現地で活動する方々のインタビュー
2日目は、郡保健局とジョイセフ合同のモニタリングです。一緒にプロジェクトを行っている地域の保健施設を視察し、地域の保健管理委員会のメンバーや看護師・助産師、伝統的産婆などにインタビューしました。 現状の確認だけではなく、郡保健局の担当者からの今後に向けたアドバイスがあったり、地域保健を担うかれらの役割をジョイセフの現地スタッフが一緒に確認したりする場面もありました。
舗装されていないガタガタの道で、車両がはまってしまうトラブル発生。みんなで知恵を振り絞りなんとか脱出できました
プロジェクト運営委員会に出席
3日目は、関係者が一堂に会するプロジェクト運営委員会。前日視察した内容やプロジェクトの進捗を確認し、各地域のリーダーたちが登壇するパネルディスカッションも行われました。現状と課題、これから取り組むことを皆で確認する場になりました。
母子保健推進員の啓発活動の取材
4、5日目は、母子保健推進員(ボランティア)の啓発活動の取材です。母子保健のプロジェクトでは、子どもの下痢症はどんな症状で気づける?どうやって防ぐ?、妊娠中にはどんな栄養が大事?といった内容を、プロジェクトの中で作成したフリップチャート(保健のメッセージを図解や写真で示したもの)やダイアログカード(ボランティアのための問答集)を使って伝えていました。
樹に吊り下げたはかりで、赤ちゃんの体重を量っていました
マタニティハウスでの啓発活動の視察
遠方に住む妊婦さんが出産前に保健センターの近くに滞在することができる施設、マタニティハウス(リンク: https://www.joicfp.or.jp/jpn/staffblog/maternityhouse/ 編集)では、妊婦さんへの家族計画の啓発で、壁に描かれた避妊具の絵をさしながら説明している場面も。
また母子保健推進員へのインタビューでは、一人目の出産でお子さんが亡くなってしまった方に、妊婦検診に行くように伝えたところ、二人目の出産では親子ともに元気に帰ってきて感謝されたというエピソードを話してくれました。
家族計画の啓発をする母子保健推進員とマタニティハウスの助産師
若者のピア・エデュケーターの活動の見学
思春期保健のプロジェクトでは、ピア・エデュケーター(ピア)がボランティアとして活躍しています。この日は中学3年生のピアが、同じ学校の生徒に対して、若年妊娠や思春期の若者が自分のSRHRについて自己決定するためには?というテーマで啓発している様子を見せてもらいました。間合いの取り方、表情、問いかけの仕方など、普段、日本の「I LADY.プロジェクト」で10〜20代のピア養成などを担当している私にとっても、勉強になることばかりでした。
一方で、日本でSRHRを広めていくにあたってぶつかる「壁」との共通点もありました。例えば、性について学校で教えることに保護者などから反対を受けることがあったり、学校内で伝えられる内容に制限があったりすることです。
ジョイセフのミッションである「すべての人が自分の意思で生き方を選択できる世界をめざして、基本的人権であるSRHRを推進する」のためには、国やプロジェクトなどの枠を超えて、知識や経験を共有していく必要があると改めて感じました。

引き続き国内外の活動を進めていくため、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
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- 橋本望
- 民間企業2社で営業職を経験の後、2024年にジョイセフ入職。日本の若者向けの啓発事業を担当している。