ジェンダーに基づく暴力(GBV)対策を含めた若者の包括的性教育推進事業

すべてのプロジェクト地域ザンビア活動分野思春期保健ジェンダー / 女性のエンパワメントアプローチプライマリヘルスケア / 地域保健強化保健システム強化ヘルスプロモーションライフコース・アプローチSDGs3.すべての人に健康と福祉を4.質の高い教育をみんなに5.ジェンダー平等を実現しよう16.平和と公正をすべての人に

プロジェクト名 ジェンダーに基づく暴力(GBV)対策を含めた若者の包括的性教育推進事業
実施国 ザンビア共和国
活動の目的 プロジェクト地区における住民のジェンダー平等やジェンダー規範が促進されることで、セクシュアル・リプロダクティブヘルス(SRH)が向上され、ジェンダーに基づく暴力(GBV)を受ける若者が減少する。
実施地域 ザンビア共和国コッパーベルト州マサイティ郡
対象人口 203,517人
実施期間 2026年3月~2029年3月(3年間)
スキーム等 外務省NGO連携無償資金協力
共同実施機関(現地) マサイティ郡保健局、IPPFザンビア(PPAZ)
背景

 ザンビアでは、2011年にジェンダーに基づく暴力(GBV)撤廃法が施行されたが、ザンビア国保健統計(2018年)によると15-49歳の女性の36%が、15歳以降に少なくとも1回、身体的暴力を受けたことがあり、18%が調査前の12か月間に身体的暴力を経験している 。また、既婚女性(15~49歳)の47%が、性的、精神的暴力を配偶者やパートナーから受けている。身体的暴力による傷害も含め、性的暴力が重大かつ長期的な健康被害をもたらす人権侵害であり、HIV/エイズなどの性感染症、若年妊娠による難産、長期にわたる精神疾患に苦しむ等多く報告されている 。社会的な被害者への偏見により、家庭や地域社会から疎外され孤立するという問題が生じることもある。さらに、18歳までの児童婚は29%と申請団体が実施する事業国(ケニア13%、ガーナ16%)より高い割合であり、15-19歳の思春期の女子1000人当たりの出生数は135、東・南アフリカの92(ケニア44、ガーナ63)より大幅に上回っている 。

 これらの背景には、男性が優位とされるジェンダー不平等の考え方に基づく固定観念やジェンダー間の不均衡な関係が挙げられる。また、GBVの要因として、経済的な収入の低さや貧困、アルコール飲酒、夫婦関係期間などの関連性も報告されている 。経済的に自立をしていない女性は離婚が難しく、暴力を振るわれていたとしても夫婦関係を維持せざるを得ない。

 社会的に弱者の立場である思春期の少女への影響や課題も大きく、18歳までの児童婚は29%と報告があり、法律では婚姻できる年齢を21歳以降と定めているにもかかわらず、貧困や文化的な背景から、親が無理やり結婚させるケースもある。また、「シュガーダディ」と呼ばれる、性的な行為と引き換えに、少女の学費や生活費を支払ったりする中高年の男性がいるなど、児童婚を強制される女性の多くは、少女期に学校をドロップアウトし、学びの機会を失う状況に陥ることが多い。

 思春期の少女は、特に健康への影響リスクが高く、包括的性教育の推進や大人の理解とサポートが求められている 。包括的性教育は、身体や生殖の仕組みだけでなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、幸福など幅広いテーマを含む教育であり、UNESCOなどによる「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」において用いられている 。

主な活動

今回の事業は、特に15~19歳の若者と周囲の大人を対象に、啓発、支援体制、経済的エンパワーメントの3本柱で進める内容になっています。

3つの成果目標を達成するため、それぞれ以下のような活動を実施します。

成果1.ジェンダー平等や社会・文化的規範形成に向けた啓発教育の強化を通じ、コミュニティにおけるGBVや若年妊娠の予防意識を高める

  • ジェンダー平等やGBV、包括的性教育に関する指導者や地域の人材の育成
  • 若者ピア・エデュケーター(PE)、保健ボランティア、コミュニティ保健委員会、学校教師などへの研修
  • 若者や地域住民へのGBVや若年妊娠予防に関する啓発活動
  • GBV予防に向けた啓発メッセージやコミュニケーションツールの作成・活用
  • 地域のリーダーや男性、保護者を巻き込んだ啓発活動の推進
  • 若者や地域住民のジェンダー平等やGBVに関する知識・意識・行動についての調査

成果2.GBVや若年妊娠の予防を含めた思春期保健に関するケアや精神的・社会的サポートの提供体制を強化する

  • GBVに関する相談やケアができる女性センターなどの整備および必要な資機材の供与
  • 保健医療従事者へのGBV対応、思春期保健サービス、利用者に配慮したサービスや施設環境改善に関する研修
  • 保健医療従事者、警察官、保健ボランティアなどへのGBVに関するカウンセリング研修
  • 行政、保健、教育、警察、司法、地域のリーダーなどが連携するGBV対策委員会の設立・強化
  • GBV被害者が必要な保健医療、心理社会的・法的サポートを受けられる地域の支援・連携体制の強化
  • 伝統的リーダーや警察官など、地域でGBV対策を担う人材の能力強化
  • GBV被害者への法的支援につなぐコミュニティパラリーガルの育成

成果3.若者を含むコミュニティの経済的自立に向けたエンパワーメントを強化する

  • コミュニティ保健委員会を中心とした、女性センターやセーフスペースの持続的な運営・維持管理体制の強化
  • 若者や保健ボランティアなどを対象とした、生計向上に必要な知識やスキルを身につけるための研修
  • 裁縫・デザインや菜園など、地域のニーズや資源を活かした収入創出活動の支援
  • コミュニティによる収入創出活動の計画づくりや、地域間での経験・好事例の共有
  • 小規模ビジネスや資金管理に関する能力強化