ひとジョイセフと一緒に、世界を変えていく「ひと」

誰かのためにジョイセフを選ぶ。 そんな声が生まれてほしい。

市民社会連携グループ(現パートナーシップグループ)

佐藤 順子

2022.12.16

ジョイセフがどんなところかまるで知らず、仕事の内容と始業時間、通勤の便利さなどの条件を見て応募し、アルバイトとして仕事を始めたのが1998年のことです。その間、開発途上国の現場支援に直接関わることはありませんでしたが、ジョイセフとのつながりは24年になります。
海外の開発途上国支援を深く理解できるようになったのは最近のこと。それまでは、庶務やアシスタントとしてジョイセフスタッフの誰かのために動いていました。
 


 

働きながら少しずつジョイセフを理解していった。

アルバイトとして働き始めた当時は、国内事業部で主に使用済みプリペイドカード(現在は収集していません)の収集・整理・出荷などをやっていました。2年後に諸事情があって一度退職しましたが、その半年後に総務や広報のアシスタントとして復帰しました。
ジョイセフという団体をよく知らずに、また活動に格別の興味を持てなかった私でした。でも、総務や広報の手伝いをするようになって、同じフロアにはバングラデシュ担当の人、グアテマラを担当していた人などがいて、ランチをしながらいろんな話を聞く機会を得ました。同じ頃に東日本大震災の被災者支援も始まり、この頃から、支援活動に興味を持つようになってきました。

市民社会連携グループ(現パートナーシップグループ)に移った現在は、ジョイセフフレンズとチャリティアイテムの運営を担当。ジョイセフがさまざまな国や地域で支援活動を続けていくために、チャリティアイテムを提供するのはとても重要な仕事だと感じています。チャリティということもありますが、何より支援してくれる人とジョイセフを結ぶポジションだからです。
アルバイトから役務提供という形態で全面的に責任をもって関わるようになってからは、完成したアイテムを提供するだけでなく企画や開発にも携わるようになり、支援する側の気持ちをより考えるようにしています。例えば協賛を検討していただいている企業の担当者と話してみると、ジョイセフを支えたい、というよりも開発途上国の女性の就業支援をしたいとか、女の子をエンパワーする支援をしたいとか、具体的な支援目標を考えている場合が多くみられます。しかし中にはジョイセフが直接関わっていない地域や支援内容もあり、そうなると残念ながら、ジョイセフと支援希望者(企業)とをつなぐことができないケースがあります。
だからチャリティアイテムの企画や提供を通しても、ジョイセフが何を目指しているのか、具体的にどんな活動をしているのか、きちんとメッセージにしていかなければと感じています。

企画とサポート。それが私の役割です。

チャリティアイテムの中で一番好評なのは、2011年3月に登場した「チャリティーピンキーリング」です。ちょうど21年3月に10周年を迎えましたが、実はチャリティーピンキーリングは、東日本大震災を機に誕生したのではありません。多くの若い女性に、途上国の女の子の現状を知ってもらうために誕生しました。3月8日の国際女性デーが誕生日。そのすぐ後、東日本大震災が起き、被災者支援のための新リングを求める声が相次ぎ、急いで「HOPE」のリングを発表したのです。
チャリティーピンキーリングは、2019年の春に爆発的に人気が出ました。ジョイセフのアンバサダーに復帰した冨永愛さんの影響もありますが、カラーバリエーションが豊富で「自分の推しキャラのイメージカラーがあるから」という理由でお求めいただいた方も結構いたようです。あらためて、どこに支援者との接点があるかわからないな、と感じました。

ともあれ、2021年には記念すべき10周年を迎え、10月の国際ガールズ・デーに合わせて記念リングを企画しました。高校生~20代までの女性たちが中心になり、リング5種類のテーマとコンセプト、色や素材選びまですべてを手がけています。たとえば地球をイメージしたアースブルー×フォレストグリーンの「Sustainable」には、「すべての女の子が、美しい地球で暮らせますように」という願いが込められました。
日本と世界をつなぐ、女の子たちの思いが詰まった5種類のリングは、初めての試みとしてイヤーカフとのセットでも提供しています。チャリティーピンキーリング専用の10周年特製リングスタンドも企画し、5個以上お求めいただいた方にプレゼントしました。

チャリティーピンキーリング「Sustainable」

チャリティーピンキーリング特製リングスタンド

一人でも多くの方に、ジョイセフのチャリティアイテムを知ってもらって、手にしたことをきっかけに、リングに込めた思いを理解し、社会とつながってほしいと願っています。時々、ジョイセフフレンズになったきっかけがチャリティーピンキーリングと答えてくれる方がいるのですが、その声はとても励みになっています。
ジョイセフの活動と支援している開発途上国や被災地への理解を深めるのがチャリティアイテムなので、私たち企画側は、この根本を忘れないようにし、伝わるものを企画しなければと思います。
例えば「思い出のランドセルギフト」という取り組みがジョイセフにはありますが、「日本でも恵まれない子どもはたくさんいる」という声をいただくこともあります。つまり私たちのメッセージがうまく伝わっていないのかもしれません。ここが今、大きな課題です。

課題と言えば、男性が持てるアイテムがあまりないことをなんとかしたいと思います。
以前男性のフレンズの方から、フレンズは女性であることが求められている気がするとの声が届いたことがあります。もちろんそんなことはありません。性別問わず大歓迎なのですが、ジョイセフはスタッフも女性がほとんどですし、フレンズも女性が多いので、きちんとメッセージを発しないと、そう思われることがあります。
ジョイセフフレンズになっていただくきっかけでは、妊娠、出産、子どもの誕生、というご自身やご家族の体験ということも多いので、男性にも関心を持ってもらえるアイテムを創らねばと考えています。アイテムを通じて、女性支援を男性とともに考え、行動していきたいのです。

ジョイセフフレンズの集いを催したときに、ある男性から、「ジョイセフはなぜホワイトリボンの活動をもっと広めないのか。チラシがあればそれを持って僕は広めるのに」と言われました。ホワイトリボンは、女性のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の大切さを伝える国際的なシンボルマークで、ジョイセフにとってとても大切なものです。

その声をきっかけに、チラシを作成したことがあります。こうやって支援していただいている方々の声が、ジョイセフをよりよくすることにもつながります。
ジョイセフ内にいて思うのは、ジョイセフは頑張っているのに、その頑張りが思ったほど知られていないということ。それをもどかしいと感じてくれる人がいるから、先の男性の声が出るわけですし、男性のジョイセフフレンズが増えないことの一因にもなっている気がします。

2022年フレンズ交流会で、来日中のアリスさんと

そう考えると、私がすべきなのは、寄付先を考えるときに、より多くの人がジョイセフを選択肢に入れてくれる、そしてできれば実際に寄付をしてくれる、そのための企画を考えていくことなのでしょう。

男性も身に着けられるチャリティーアイテムとしては、ジョイセフのアイコンとして親しまれてきた「ホワイトリボン」のピンバッジがあります。そのピンバッジが2021年、素材も新たに生まれ変わりました。ボタンホールに挿す飾り花=ブートニエールをイメージした「ホワイトリボン ブートニエール」です。

このアイテムの企画開発を手がけたのは、ジョイセフのウェブサイトや広告のクリエイティブを担当する男性スタッフでした。従来のピンバッジは金属製でしたが、彼は「自然の温もりを表現したい」と新しい素材を求め、海水ミネラルから作られた三井化学の新素材「NAGORI」に出合いました。さらにカラーデザインを提案しているオーケー化成のチームに相談し、自然が作り出した波や貝殻のように繊細なマーブル模様を施して、持つ人が愛着を感じるアイテムに仕上げたのです。
こうして誕生したホワイトリボン ブートニエールは、ジェンダーを問わず多くの方々に好評をいただいています。

そのほか、チャリティーピンキーリングに11号と13号サイズを用意したところ、着けてくださる男性が増えてきました。より多くの方々にジョイセフを身近に感じ、親しみを持っていただけるよう、このようなジェンダーレスなアイテムをこれからも届けていきたいと思っています。

ホワイトリボン ブートニエール

ジョイセフに入ってから最初の2年は、業務多忙でつらさを覚えることもありました。今も業務が多忙なことは変わらないのですが、ジョイセフの活動の意義を実感しながら、周りで熱い思いを持って頑張っているスタッフと共に仕事をしていると、多忙な中でもしっかり充実感が得られています。

チャリティアイテムの企画を任されて、その分スタッフのサポートに充てられる時間は少なくなりましたが、どちらにも大きなやりがいを感じています。アイテムを通してジョイセフと支援者の皆さんをつなぐこと、ジョイセフで働く仲間たちが集中して活動できるように支えること。私は派手な仕事は向いていないので、このような縁の下の力持ちとして、これからも頑張っていきたいです。

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