【終了報告】カブレ郡、カトマンズ盆地における 被災女性・母子へのリプロダクティブ・ヘルスサービス支援事業

2016.3.31

  • レポート
  • ネパール

2015年4月25日にネパールで発生した地震から、約1年が経とうとしています。ジョイセフは、震災直後から日本のみなさまからのご支援を受けて、現地協力団体のIPPFネパール(FPAN:ネパール家族計画協会)と共に緊急支援活動を行ってきました。

さらには8月から10月は、NPO法人「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」からの助成もいただき、ラメチャップ郡とシンズリ郡にて、巡回診療と女性支援キット配付の緊急支援事業第1期を行いました。

今回JPF助成事業の第2期として、カブレ郡とカトマンズ盆地にて2015年12月~2016年3月まで、被災女性・母子へのリプロダクティブ・ヘルスサービス支援事業を行い、3月下旬に無事終了することができました。

事業実施にあたり助成をいただいたNPO法人「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」、そして支援者の皆さまのご寄附に心よりお礼申しあげます。

5854人の被災女性に巡回診療サービスを提供

現地協力団体のIPPFネパール(FPAN)との協働により、2016年2月~3月の間、カブレ郡とカトマンズ盆地の13カ所において、女性5854人、男性1007人、合計6861人の裨益者に、産前産後健診、避妊具の提供、子宮頸がん検査、性感染症の治療、子宮脱治療(ペッサリー装着)、カウンセリングおよび他機関への照会等の保健医療サービスを届けることができました。
巡回診療の実施ポイントの選定にあたっては、対象地域の郡保健局およびリプロダクティブ・ヘルス分野で活動するNGOと調整を行い、他の機関や団体の支援が届いていない下記の村を選び実施しました。

  • CIMG22648問診(産前健診)を行う医師
  • s-IMG_20160229_135450婦人科健診後の看護師と患者
    健診結果や今後の注意点を丁寧に伝えます。
  • s-IMG_20160311_133348血圧を測る女性
カブレ郡 ガウリビソーナ村、バルーワ村、ジャンビ村、ナヤガウン村、サティガー村、バルーワ村(アプガリ地区) 全6カ所
カトマンズ盆地 ナングレバーレ村、チャイマーレ村、シュチャター村、ナヤパティー村、ゴサタ―村、カダガリ村、チュニケル村 全7カ所

ジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence)に対するカウンセリング

今回の巡回診療では、ジェンダーに基づく暴力(以下GBV)に対するカウンセリングも行いました。もともと震災以前より、ジェンダーに基づく暴力は深刻な社会問題であり、15歳―49歳の女性の22%は15歳以降に少なくとも1度は肉体的暴力を受けたことがあり、さらに12%は少なくとも1度の性的暴力を受けているというデータもあります。さらに災害という特殊な状況下では、災害以前から存在していた差別や不平等などがさらに深刻化するとも言われているためです。

今回の巡回診療サービスでは計258件のGBVの相談に対応しました。しかし実際には多くの女性が、なかなか悩みを口に出すことができずにいます。また、そもそも自分が受けている暴力がGBVだと認識していないケースもありました。従って、個別相談以外にも、女性たちを集めてGBVとは何か、また相談窓口などを紹介するグループセッションも行いました。

女性支援キット(Dignity Kit)を710セット配付

災害時に、女性のニーズは最も後回しにされがちです。従って今回は特に弱い立場に置かれている妊産婦や女性が尊厳を保って生活再建に取り組めるように、710人の妊産婦やシングルマザー、また障がいを持つ女性に女性支援キットを配付しました。身の回りを整えるためにニーズが高く、日常生活の必需品である生理用ナプキン、歯ブラシ・歯磨き粉を始め、また今回は寒い時期であったため、冬物の衣類等を詰め合わせた女性支援キットを配付しました。身なりを清潔に保つことは、女性たちの尊厳を守るだけでなく、ジェンダーに基づく暴力なども防止する意味も含まれています。

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ジョイセフスタッフが、被災地の妊産婦に女性支援キットを直接手渡しました。

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女性支援キット(全15アイテム: 生理用ナプキン、石鹸(手洗い用・洗濯用)、歯ブラシ・歯磨き粉、くし、爪切り、懐中電灯、タオル、下着、ペチコート、ショール、サリー、セーター、冬用履物)

2016年度はネパールの若者たちを支援します

今回の巡回診療サービスの提供や女性支援キットの配付は計画通り終了しましたが、ジョイセフは引き続き皆さまからのご寄附によりネパールを支援していきます。

若者たちに適切なリプロダクティブ・ヘルスの知識を伝えるため、ネパールでもピア(仲間)・エデュケーターが大活躍していますが、首都カトマンズ市の隣にあるバクタプル市のピアたちが活用していたユースセンターが、地震で全壊してしまいました。まずはこのユースセンターの再建と共に、ピアたちの活動をサポートしていく予定です。

皆さまの引き続きのご支援・ご協力をどうぞよろしくお願い申しあげます。

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