ひとジョイセフと一緒に、世界を変えていく「ひと」

難民支援から女性支援の分野へ。 人をつなぎ、臨機応変な支援を。

ジョイセフ 開発協力グループ

榎本 彰子

2021.6.22

東日本大震災が発生した同じ年に、中東のシリアでは内戦が起こりました。
当時私は別の国際NGOに所属していて、近隣諸国のイラクとヨルダンへ入り、緊急支援をスタートしました。

シリア内戦や「イスラム国」による戦闘から逃れてきた難民・国内避難民に対して、世界からさまざまな団体が人道支援のために現地入りし、「いま何ができるか、何を必要としているか」を考えながら活動していました。

ただ難民キャンプができた初期段階では産前・産後健診などのケアは整っておらず、妊産婦支援には手が行き届いていませんでした。

しかし、ひとつの命という観点では病気や怪我の人と、妊産婦や生まれてくる赤ちゃんに急不急の差はありません。その現実を目の当たりにし、私は帰国後、2016年にジョイセフのスタッフになりました。

中東での日々と経験が
私をいまのの道へ

そもそも国際協力の道に進もうと思ったのは大学生時代です。
国際政治を学んでいた当時は、アメリカ同時多発テロ(9.11)が起こり、イラク戦争が始まって間もない時期でした。ポスト冷戦期の湾岸戦争や各国・地域の紛争については知っていたのですが、これを機に、こんな時代になぜ戦争や紛争が起こるのか、どうやったら紛争を防げるのかということに興味を持つようになりました。

また大学生時代のレバノン留学中、紛争の政治的な平和的解決の道に進むことも考えたのですが、レバノンでパレスチナ難民やその支援に携わっている人たちと出会い、話をする中で、「いま目の前で困っている人達に対して何かできるような人間になりたい」という思いが芽生えました。政治的な解決策といったマクロ的ことではなく、目の前にいる一人ひとりに何かできるようになりたいと、考えたのです。

そこでレバノンからの帰国後、青年海外協力隊に参加し、村落開発普及員としてエジプトの砂漠にあるオアシスの村で、女性の現金収入向上活動などに従事しました。

この時の経験がもととなり、国際協力を続けていくにも、課題と解決策について論理的な考え方などを学ぶ必要があると考え、帰国後に大学院へ進学。国際開発学を学び、卒業後にイラク支援活動に就くことになります。

イラクでは医療支援に携わっていましたが、シリア内戦や「イスラム国」との戦闘により逃れてきた、シリア難民やイラク国内避難民への緊急支援にも携わり、そこで関わった妊産婦や母子保健分野での支援を特にしたいという思いに行き着いたのです。

©Miki Tokairin / JOICFP

周りの人たちから力を得て
より広く深く、支援を

ジョイセフに就職してみて感じたのは、分野は違っても支援という考え方は同じだということです。何が求められていて何が足りていないかを考え、そのギャップを埋めていくのが我々のミッションだと考えています。
例えば私には医療に関するバックグラウンドはありませんが、現地での必要性を調査し、そこへ専門的知識をもつ人や関係者をつないで支援することができます。

このことは、現地で支援事業(プロジェクト)が終了したあとの活動の継続性にも関係してきます。現地で専門性を持っている人たちがプロジェクト終了後も継続していけるよう、人材養成が必要です。ここに、私のこれまでの経験を活かすことができると考えています。

現在はガーナでのプロジェクトを担当していて、母子保健や思春期保健の向上のために、現地の地域保健ボランティアや保健スタッフの養成、保健啓発活動のためのメッセージやツール制作、必要な医療機材の提供、地域保健委員会の活性化などを実施しています。

一番充実感を得られるのは、地域住民や現地の保健局スタッフ等関係者と一緒に課題を見出し、その課題に取り組める時間です。自分自身にとっても日々学びや教訓があり、それを現地で共有しながら進められます。
支援活動は、他の国・地域で成功していてもそれをそのままやって成功するわけではありません。他国・他地域での経験に加え、その国・地域に応じたやり方を見つけながら、少しずつ前進していくのです。

地域での聞き取りの様子


©Miki Tokairin / JOICFP

もちろん、困難に直面することもあります。しかし、そんな時こそ力をもらえるのは、同じ分野で活動しているジョイセフスタッフやほかの団体の人たちの存在です。国際協力やプロジェクトに携わる人たちはみな、個々人が達成したいと思う目標を持っています。組織としての方針に加え、自分自身が「こういう社会にしたい」という信念を持っているのです。ですから日々刺激を受けますし、何より、一緒に働いていて楽しいと感じています。

ジョイセフは、海外だけでなく国内でも活動しているのが特徴的な団体です。母子や妊産婦、思春期の問題は世界だけでなく、日本にも共通しています。

それを海外だけ、国内だけで実施というように分けるのではなく、これまでの知見を国内外でやっていけるところが大きな魅力ではないでしょうか。

また、さまざまな問題を解決するには行動が必要ですが、同じように、市民社会の意識を変えていくことも大切です。その点ジョイセフはアドボカシー活動も行っていて、実際の支援の現場での活動と市民社会の意識変容のための活動の両方を行っていることは、大きな特性だと私は考えています。

支援活動を実施している現場を持っているからこそ、アドボカシーの際に実際の経験に基づいた意見が言えるし、それが人に伝わるのではないでしょうか。

現在は、自分がやりたかった母子保健や妊産婦支援を実施しているガーナに全力投球。しかしいつかは、イラクでの難民・国内避難民支援の経験を活かして、今後どこかで最貧困層の支援も手掛けていきたいと考えています。

そのためにも状況に合わせて臨機応変に支援策を考える手法を今、経験値として積み上げています。

ジョイセフでは、毎月継続的にジョイセフの活動を支えてくださる「ジョイセフフレンズ」を募集しています。

ジョイセフフレンズとは
世界の女性たち「フレンズ」を、毎月2,000円から継続的に支援するマンスリーサポーターです。

月額2000円を1年間支援すると、アフガニスタンの女性36人に、クリニックでの保健医療サービスを提供できます
たとえば、
  • 男性医師に肌を見せられない保守的な地域の女性のために、女性の医師とスタッフが対応する診療体制を用意できます。病気や妊娠の際に、女性が安心して受診・相談できる保健サービスにより、女性や赤ちゃんの命を守ることができます。
  • 12,13歳といった低年齢で結婚を強要され、毎年のように出産を余儀なくされている少女たちが、家族計画に関する知識を得たり、ピルやコンドームを手に入れることができます。
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