親世代から子世代に刷り込まれたジェンダー・バイアス。まずはそこに気づくことから
今回の調査でも男女の差が最も顕著だったのは「(プロポーズは)相手からしてほしい」若者女性が、95.1%に対し男性は18.9%。
続いて、「気が乗らないのに性交渉に応じた経験のある」女性は、若者世代で2人に1人(男性は4人に1人)。この割合は年齢が上がるにつれて増え、大人世代の女性は63.5%にも上りました。
誰に教わったわけでもなく、知らず知らずのうちにメディアや身近な生活環境に影響を受ける刷り込み。「男は」「女は」という無意識の中にあるバイアスが、避妊やセックスの考え方、性的同意、性的自己決定にも影響していることが分かりました。
男女ともに約半数が「避妊をしないでセックスをした経験がある」と回答した中で、その理由を問うと、世代を問わず女性の約2割が「言いづらかったから」と答えていること。
中でも特に衝撃的だったのは、「もし妊娠したらどうするつもりだったか」の問いに
男性は世代を問わず約3割が「産んでもらうつもりだった」と回答し、若者男性の10.5%が「中絶してもらうつもりだった(大人世代は6.2%)」と回答。
この結果で、産む・産まない、いつ産むか、その当事者である女性が決める権利を持つということ、つまり「リプロダクティブ・ライツ」を知らない男性の実態が浮かび上がりました。
国際スタンダードでは、「SRHR:セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」は基本的な人権です。ただ日本では、人権=「ライツ」といっても、義務教育の学習指導要領にも入っていないので、学校や家庭で考える機会が少ないと思われます。
「多様性」や「ダイバーシティー」という言葉が、メディアや政策の中でも目にする機会が増えた今もなお、日本に、国際機関や海外メディアから「日本の常識」に対して警笛が鳴らされています。
だからこそ、調査結果を見て、まずは自分の中の「刷り込み」「バイアス」に気づいてもらえたらと思いますし、今までの常識や行動が変わる一助となればうれしいです。
ジョイセフは、「性と恋愛2021 意識調査」を通して、I LADY.プロジェクトでLove, Act, Decide yourself.〜「自分らしい選択・決断を自分でできているか」を問い続けることが重要だと再確認しました。今後は特に、セクシュアル・ライツと、リプロダクティブ・ライツを考える機会を増やし、日本のSRHR意識向上に力を入れていきたいと思います。
「性と恋愛2021」 調査結果を見る
- Author
小野 美智代
カンボジアの友人が出産により命を落としたことをきっかけにジョイセフへ転職。これまで広報グループ長、市民社会連携グループ長、デザイン戦略室長、事務局次長を歴任し、2025年4月からはパートナーシップグループのディレクターとしてコミュニケーション・ブランド強化とファン拡大に取り組む。自他共に認める熱血&お調子者で、走りながら考え、創造することが得意。チャリティーピンキーリング、ホワイトリボンラン、I LADY.を発起。 プライベートでは、2人の娘と同い年の夫との4人家族。2005年から事実婚の形を選び、新幹線通勤を続けている。