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【ミャンマー・現地レポート】10年越しの「もう一度」

2026.7.10

  • 途上国の日々
  • 活動の現場から
  • ジョイセフフレンズ通信

ミャンマー担当スタッフ、吉留からのレポートをお届けします。約10年前、ジョイセフはミャンマー保健省とともに、月経教育の教材をつくりました。クーデターが起きてから、思うように活動できない日々が続いていましたが、先日、一緒に教材づくりに取り組んだ保健省の職員からメッセージを受け取りました。
「あの教材、今でも使っています。改訂を手伝ってもらえませんか?」
その言葉が、もどかしさを抱えながら現場とつながり続けてきた私たちに、前へ進む力を与えてくれました。

こんにちは、ミャンマー事業担当です。今回は、ある出来事をお伝えしたいと思います。

クーデター以降、すっかり変わってしまったミャンマー。以前は順調に進められた活動の多くが困難に直面しています。そんな中、かつてともに活動した現地の方から、先日、思いがけない言葉をかけていただきました。

10年前、ミャンマーで生まれた教材

ジョイセフは2015年から3年間にわたり、ミャンマー保健省と協力して、学校保健で使用される同国初の本格的な月経教育教材と、教員向け研修プログラムの開発に取り組みました。当時は学校で月経について体系的に学ぶ機会も、そのための教材もない状況でした。(詳細はこちらからご覧いただけます)

あれから10年。会議に出席していたジョイセフの現地スタッフが、当時力を合わせて教材を作り上げた保健省の職員Aさんから声をかけられました。
「月経教育教材の改訂をしたいのだけれど、ジョイセフに手伝ってもらえないだろうか」
思いがけない言葉でした。

「今でも使っている」――そして、新たな課題も

Aさんによれば、教材は「とても良いので、今でも使っている」とのこと。嬉しい言葉でした。一方で、新たな課題も生まれていることがわかりました。
2021年のクーデター以降、厳しい社会経済状況が続く中 、保健省では印刷物による配布よりも費用対効果が高く、更新もしやすい手法として、教材のデジタル化を進める方針が示されているといいます。
しかし現場の意見は違いました。月経教育を行う助産師たちから「学校で教育を行う際には、生徒一人ひとりが手に取れる冊子や月経カレンダー、保護者向けリーフレットが必要だ」という強い声が上がっているそうです。また、この10年で社会環境も変化し、教材の内容や用語の更新も求められています。

活動の前に立ちはだかるもの

本来であれば、ジョイセフはすぐにでも協力したいところです。しかしクーデター以降のミャンマーは、以前とはすっかり変わってしまいました。
コミュニティの人々に集まってもらって活動することさえ、移動の制約や治安への懸念から難しくなってしまいました。資金を送るにも、金融システムの混乱や各種規制の影響によって手続きが複雑化し、多くの時間と労力を要します。必要な支援を必要な場所へ届けるために、以前はなかった慎重な調整や確認が欠かせなくなりました。

気づけば、活動そのものよりも、関係機関への報告・連絡や膨大なペーパーワークに費やす時間が増えていきました。本来向き合うべき人々の顔が、遠のいてしまうような感覚に陥ることもあります。
「自分は今、誰のために、何のためにこの仕事をしているのか」
そんな問いが頭をよぎる日も少なくありません。

それでも、石を積み続けてきた理由

この5年間、大きな成果を追い求めるよりも、小さな石を根気強く一つひとつ積み上げるような活動を続けてきました。それは、今も私たちの活動を必要とする人たちがいるからです。これまで一緒に活動してきたコミュニティの方々が、自分たちの暮らしも決して楽ではない中で、地域のお母さんと赤ちゃんを守るために動き続けています。そして日本には、ミャンマーのことを忘れず、「少しでも力になりたい」と応援してくださる皆さまがいます。

「もう一度」が教えてくれたこと

Aさんからの「もう一度一緒に」という言葉は、これまでジョイセフがミャンマーで積み重ねてきた活動が確かに現地に根づき、誰かの役に立ち続けているのだということを、改めて気づかせてくれました。
現地で厳しい状況にも負けず歩み続ける人たちと、それを支えてくださる皆さまの思いをつなぐために、私たちは立ち止まるわけにはいきません。
今後ともご理解とご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。

吉留 桂
2001年よりジョイセフを通じてセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの実現に向け国際協力活動に従事。主に社会行動変容コミュニケーション分野(コミュニケーション戦略構築、教材企画・開発、教材使い方指導、住民主体の課題解決に向けた仕組みづくり等)の技術協力を通じた、住民の行動変容や支援環境づくりに取り組む。アジア・アフリカ・ラテンアメリカ16カ国の事業に携わる。趣味は合気道と料理。