2018年5月30日

ファーブル昆虫記

アフリカやアジアの国々では、珍しいモノに遭遇することがあります。あくまでも私にとって、ということなのですが…。

そのひとつが、本物のフンコロガシ。おそらく最初で最後であろうフンコロガシに出会ったとき、「これが、あれであったか!」と、長年の胸のつかえが取れたような気分になりました。ラクダなのか牛なのか、主は不明でしたが、落とし物を丸くまとめてコロコロころがす、というか、引っ張っている、思いのほか小さなカナブンくらいの虫をしばし観察。

フンコロガシは、言うまでもないかもしれませんが、『ファーブル昆虫記』で最初に出てくる昆虫です。

誤解のないようにお断りしておきたいのですが、私は全く虫好きではありません。

で、これは、挫折のお話です。これまで挫折は何度も経験していますが、人生初の、「自覚ある挫折」を、読書する子どもを見ると思い出します。

『ファーブル昆虫記』は児童向け推薦図書なので、小学生が一度は手に取る本なのかもしれません。私も小学校3年生くらいだったころ、ファーブル昆虫記を読み始めたと思いますが、第1章で、微に入り細に入り、これでもかというほど詳細な(と、当時は思いました)フンコロガシの生態について説明が続くので、途中で飽きて投げ出してしまいました。

でも、それが悔しくて、しばらく経ってから再挑戦。でも、やっぱり、相変わらず延々と続くフンコロガシの解説に、同じくらいまで読んだところで、また挫折。同じ挫折を性懲りもなく、何度も繰り返しました。我ながら、結構しぶとかった…。結局乗り越えることはできず、残念ながら詳細は何も覚えていないのに、フンコロガシへの劣等感が、私の脳裏に刷り込まれたのです。私の人生で最初の挫折はフンコロガシ。私はフンコロガシに負けた。

さらに『ファーブル昆虫記』全編が、フンコロガシの本だと誤解してしまいました。他の章も読んでみれば良かったのに、本は最初から読むものと思っていたのですね、きっと。他の章を読んでいたら、という思いは無いとは言えませんが、もう一度チャレンジする気持ちには、まだなれません。

大人になって本物を見たことで、とってもスッキリ。でも、アンリ・ファーブル博士がフンコロガシに魅せられた理由は、わかったようで、わからない。

 

不思議な・・・

 

パン!

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勝部 まゆみ
UNDPのJPOとして赴任したガンビア共和国で日本の国際協力NGOジョイセフの存在を知り、任期終了後に入職。日本赤十字でエチオピア北部のウォロ州に赴任するために一旦ジョイセフを退職、3年後に帰国・復職。ジョイセフでは、ベトナム、ニカラグア、 ガーナ、タンザニアなどでリプロダクティブ・ヘルスプロジェクトに携わってきた。2015年から事務局長、2017年6月から業務執行理事を兼任し、2023年6月に代表理事・理事長。