CHPS診療所の建設と開所式
- ガーナ
- レポート
2014.4.16
2013年3月に開始されたこれら診療所の建設は、建設業者の苦労の末、10月に完成しました。アグアジクロムは周辺の道路が未整備のため建築資材の輸送や確保にも苦労しました。特にこの地域で調達できる砂の質が建設に向いていないため、対岸から砂を運ぶ必要が生じました。地元の人たちが普段使っている木製ボートで砂を運ぶことは困難だったようで、ブロックを作ってから運んでいました。
この地域では、以前、外国の支援団体が支援の約束をしたものの、それきり二度と戻ってこなかったことがあり、このプロジェクトについても住民は半信半疑だったそうです。今回は本当に建設が始まり診療所ができて、みんな驚いたそうです。支援する私たちも、常に責任ある行動をとらなければ住民の信頼は得られず、住民の参加や協力にもつながりません。
またこの地域では、質のよいサービスに必要な衛生的な水の確保が困難であることから、雨水を貯めるための容量の大きな水タンクを追加で設置し、使用する水の量が節約できる汲み取り式トイレを作りました。また安全管理の向上のため、2つの診療所を簡易な柵で囲みました。
11月には3つの村でそれぞれ開所式を開催し、多くの地域住民や地域の伝統的リーダー(首長)、保健スタッフ、地域保健運営委員、地域ボランティア、郡保健局、郡役所、PPAG、ジョイセフからの代表が参加しました。センポアでは、在ガーナ日本大使館から参事官やイースタン州保健局長など、多くの関係者も参列する盛大な式となりました。州保健局長からは日本政府の支援に対する謝辞に加えて、CHPS診療所は地域のものであり、今後の運営には住民からのサポートが不可欠であることが強調されました。また保健スタッフや地域保健運営委員会、地域ボランティアを紹介する場面も設け、住民が診療所を身近に感じられるよう工夫しました。シュウォホーデンでは地方歌劇団がプロジェクトで導入した青空演劇を披露して住民の喝采を浴びました。最後に施設の内部を見た住民たちの「ついに自分たちの地域に保健施設ができた」という声には満足感があふれていました。
プロジェクト地区ではほとんどの道路が未舗装のため、雨が降るとぬかるんで通行不能になります。そのため地域の人々はボートを使った水上での移動に頼っています。緊急搬送や保健スタッフによる巡回診療などの用途を想定し、プロジェクトでは定員22人とバイクも乗せられるモーターボートを調達し、コトソに配置しました。今後ボートを活用したRHセンターと各診療所の連携体制を整えるとともに、住民にとって質のよいRHサービスに一層アクセスしやすい環境を目指します。
- 目的
- 安全な妊娠・出産に焦点を当てた、質のよいリプロダクティブ・ヘルス(RH)サービスの提供と、住民に対する草の根の啓発活動を通した、対象地域の妊産婦の健康の改善
- 実施地域
- イースタン州コウ・イースト郡ヴォルタ川地区
- 実施期間
- 2011年11月~2014年12月
- 支援機関
- 外務省(日本NGO連携無償資金協力事業)
- 現地協力団体
- ガーナ家族計画協会(IPPFメンバー団体)・ガーナ国家保健サービス
もちろん建物だけではサービスは提供できません。
各診療所に2名ずつ配属される保健スタッフは「地域保健師(Community Health Officer)」と呼ばれ、地域看護師(Community Health Nurse)が追加研修を受けて、CHPS診療所で勤務する上で必要な知識・技能を修得します。建物の完成を控えた9月にイースタン州保健局から派遣された講師が中心となり、既存のCHPS診療所視察や実習も含めた実践的な研修を実施しました。研修では、地域保健の向上には住民参加の重要性も強調され、保健医療の知識や技能に加え、いかに地域住民との関係を築くか、地域ボランティアと連携するかといったテーマもしっかり学びました。
さらにサービス提供に欠かせない基礎的な医療機材も調達しました。分娩台や診察台、分娩キット、ソーラーランタン、ワクチン保冷用のソーラー冷蔵庫などです。一部の機材はガーナ保健サービス(中央、郡レベル)から寄贈されました。