行動変容のためのコミュニケーション技能強化(IEC/BCC)研修の成果

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2015.8.5

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ザンビア妊産婦新生児保健 ワンストップサービスプロジェクト

メインイメージ:妊娠シミュレーター体験

2015年7月3日から22日の19日間、プロジェクト対象地であるマサイティ郡、ムポングウェ郡の保健スタッフ17名、母子保健推進員(SMAG)240名に向け「行動変容のためのコミュニケーション技能強化(IEC*/BCC*)」研修を実施しました。このプロジェクトは日本NGO連携無償資金協力を得て昨年12月から始まったものです。

今回は、ジョイセフからIEC/BCCの専門家として浅村里紗を派遣し、IEC/BCC教材であるマギーエプロンと妊娠シミュレーターの使い方、その後のアクションプランの作成を行いました。マギーエプロンとは、女性の体、月経、妊娠の仕組みがエプロンに備え付けられたカードを使って説明できる教材です。妊娠シミュレーターは、出産間近の体の状態(妊婦の体重の増加は約12キログラムほど)を体験する教材で、主に男性を対象に作られたものです。

今回私たちが目標としたテーマは、「チームワーク」と「尊敬」。保健スタッフ、母子保健推進員がそれぞれにチームワークを持って活動してほしい、そしてお互いに尊敬する気持ちを持ち続けてほしいという思いでスタートしました。

7月3日から2日間にわたり、保健スタッフに向けてクライエントフレンドリーサービス研修を実施しました。この研修は、医療従事者がクライエントにどのような質のよいサービスを提供できるかを考えていくものです。各国で行われている5S*の活動紹介等を行い、環境面とクライエントに対する時の接し方の2点に焦点を当て、それぞれのクリニックで実践する3カ月間のアクションプランを作成しました。環境面では、クリニックをきれいな状態に維持する、ポスターなどを用いてクリニック内の壁の使い方を工夫する、飲み水をきちんと確保するなどが出されました。また接し方では、クライエントのプライバシーにかかわる話はしない、いつも笑顔を心がける、クライエントがわかりやすいように説明するなどとさまざまな案が出されました。今後、それぞれのクリニックで作成された計画をもとに実践に入っていきます。

7月6日から各グループが3日間をかけて行った母子保健推進員対象のIEC/BCC研修では、主にマギーエプロン、妊娠シミュレーターをコミュニティで実践的に活用できることを目標にスタートしました。各グループに分かれ、司会者、教材のデモンストレーター、質問者等の役割を決め、家族計画、妊産婦健診の2つのテーマをもとに各グループで練習に励みました。最後には、実際にコミュニティまで行った想定でプレゼンテーションを披露し、全員でよい点、改善点を話し合いました。プレゼンテーション本番では、コミュニティの人々になりきった参加者から「受精しなかった残りの精子はどうなるの?」「出産してからどれぐらいしたらまた妊娠できるの?」などたくさんの質問が出されました。今回は、保健分野に従事する青年海外協力隊の方々の見学もあり、母子保健推進員も張り切ってプレゼンテーションに挑んでいました。
 
今回の研修では、保健スタッフからの日頃の活動への感謝のメッセージに喜ぶ母子保健推進員の姿や、日が暮れるまで真剣にテスト勉強に励むグループの姿、早く教材を貸してほしいという多くの参加者の声がとても印象的でした。3日間のトレーニングという短い期間でしたが、その中で着実にIEC/BCC教材の実践的なスキル向上とチームワーク、そしてお互いが尊敬し合える関係が生まれたと感じます。また私たちスタッフ一同もこの研修を通して信頼できる関係づくりを再認識させられました。

今後、各地区のクリニックにマギーエプロンと妊娠シミュレーターが配付され、保健スタッフと母子保健推進員によって実際に活動が始められます。家族計画、施設分娩、妊産婦健診の大切さ、妊娠中の危険な兆候など、マギーエプロン、妊娠シミュレーターの活用を通してさまざまなメッセージが多くのコミュニティの人々に届くことを期待したいと思います。

IEC:Information, Education and Communicationの略
BCC:Behavior Change Communicationの略
5S:Sort(整理)、Set(整頓)、Shine(掃除)、Standardize(清潔)、Sustain(躾)の略

  • 母子保健推進員(SMAG)研修での集合写真
    母子保健推進員(SMAG)研修での集合写真
  • 保健スタッフ対象のクライエントフレンドリーサービス研修
    保健スタッフ対象のクライエントフレンドリーサービス研修
  • マギーエプロンの練習中
    マギーエプロンの練習中
  • グループ活動
    グループ活動
  • 最終日のクイズ大会
    最終日のクイズ大会
  • 保健スタッフが描いた妊産婦にとってよい環境とは
    保健スタッフが描いた妊産婦にとってよい環境とは
クライエントフレンドリーサービス研修を経験して

チョイス ムインデさん(女性) カフラフタクリニック 看護師
チョイス ムインデさん(女性) カフラフタクリニック 看護師これまでに看護学校でクライエントフレンドリーサービスのことを学びましたが、このような研修を受けたのは初めてでした。この研修は私にとってとても実りある時間でした。クライエントフレンドリーサービス、そしてIEC/BCC教材に関して多くのことを学びました。研修を終えて早速私のクリニックのスタッフに今回の研修のことを話しました。現在、クリニック内の清掃、また各部屋がきちんと整頓されているか常に確認いています。またクライエントに対する姿勢も変わりました。常に笑顔で丁寧な言葉を使うようにしています。これからも私たちができるサービスを探し、それを行動に移していきたいと思います。また私のクリニック管轄の母子保健推進員の方々の活動も共有し合い、励ましていきたいと思います。

妊娠シミュレーターを体験して

ポール サカラさん(男性) カンボワ地区 母子保健推進員
ポール サカラさん(男性) カンボワ地区 母子保健推進員妊娠シミュレーターを体験し、妊産婦さんの大変さを実感しました。息がうまくできなかったり、うまく動けなかったり、すぐに疲れてしまいます。私には子どもが1人いますが、妻がこんな思いをしているとは思いませんでした。今回の研修を機に、この妊娠シミュレーターを使い、多くの人々に妊産婦の日常生活での大変さをわかってもらいたい、そして妊産婦の人たちを労わってあげられる環境をつくっていきたいと思います。また、家族計画、妊娠の間隔等の大切さを伝えたいと思います。